Goodfind講師ブログ

次代を創るビジネスリーダーのためのキャリアサイトGoodfind

今後の世界はどうなるのですか?(雑感) ~2017年新年にあたり~

「今後の世界はどうなるのですか?」

非常に大きなテーマについて、”軽く”聞かれます。

本当は世界中の有識者のレポートを読んでいただくのが参考となると思うのですが、
誰が有識者であり、誰が正しいかを誰もわからないというところが問題であります。
そうなると、自らある程度の情報を集めた後に自分で判断するしかないんですよね。

その情報のヒントとなればと思い、”軽く”聞かれた質問に対して、簡単に”雑感”としてお話しようと思います。

 

いくつかの大きなテーマがありますが、今後はこれまでのシステムやスキームが大きく変わる不確実な時代が来ると思います。たいそうな言葉で表現すると、「パラダイム・シフト」などという表現にでもなるのでしょうか。
パラダイム」って何だよ、とか思いますが、人間は理解のためには抽象概念をつかった表現、特に単純化された概念だと理解が進むので好まれるようです。

過去においては以下のようなワードがありました。
「東西冷戦」、

「南北問題」、

イスラム教圏対キリスト教圏」、

「先進国と途上国」、

、、、



これらは現象の一面を表しているので、おおよその理解の助けになりますが、あまりにも単純視しすぎているので、それで全部を理解しようとすると大枠以外ではミスリードする部分も出てくると思いますし、そもそも上記の仕組みも西側、欧米側からの視点によるものです。


さて本題に戻ると、一言でいうとこれからの時代はこれまで存在した上記のような「二軸の存在」で考えにくくなると思います。「二軸」というのは実は比較的バランスの良い構造で、二つしかないためお互い相手が一つしかなく、相手とのバランスをとれば全体がバランスが保たれます。

ですので、例えば冷戦の時代であればアメリカはソ連ソ連はアメリカを気にしていれば、局所的に紛争があった時にでも全体としてこの2つが大きな喧嘩をしなければなんとか落ち着くという状況になります。

現在はスーパーパワーとして、アメリカ、中国、ロシア、EUなどがあり、多極化していて分かりにくいです。仮に二軸で単純化するなら経済では「アメリカ対中国」で、軍事では今でも「アメリカ対ロシア」です。
中国も日に日に軍事的な存在が大きくなってきており、これは背景となる経済的影響力からも今後加速するでしょう。


さて、それぞれの大国の状況を少しずつ見ていくと、EUは政治・経済・社会的にとても不安定な状態になっています。EUというユートピアを目指してこれまで構想から約20年がんばってきておりましたが、社会と経済の不安定化、および中東における紛争を発端とする大量移民の問題が重なり今後の見通しもあまり見えない状態です。

この背景としては過去の歴史の領土問題という不良資産があり、南欧、中東、東ヨーロッパなどは、二つの大戦と冷戦後の処理が清算し切れていないことが原因です。実際に欧米側の事情で勝手に再編成したつもりが、その地域にのちのち禍根となる政治的・経済的問題を中東やアフリカ北部などに埋め込んでしまい、それが現代になっていろいろな形で噴出している状況です。

現状はEUの中のリーダーであるがドイツとフランスがどこまで周辺国を上手に切り離すか、もしくは規制がんじがらめで他の国を強引に引き込むか、みたいになっていますが、後者はうまくいくはずもなく、着地点が見えない状況です。

理想的にはEUがうまく経済統合してアメリカと同等の市場規模で対等に戦いたかったという思惑もあったように思われますが、ユーロという通貨の統合を実施した一方で、国ごとの金融と財政政策を同時に放棄していました。
そうなると自由主義的経済学者の主張する”市場の自律調整”を失った巨大な機能しない経済連合になってしまい、ギリシャのようなうまくいかない国々がでてきてしましました。東ドイツ出身のメルケル首相はそのあたりの事情は身をもって経験しているとは思いますが、あまりにも重いドイツの経済的、政治的負担を道義的に開放する方法は決して簡単ではないと思います。

 

次は中国についてみてみると、さすがに消費市場の伸びの鈍化が見えてきました。これまで世界経済は中国の旺盛な成長力と借金漬けで金融バブルのアメリカの消費で牽引されていました。
その二つのうちの一つの中国が失速したことで、ただでさえ供給過剰である世界経済が全体としてデフレ化していきます。一部ではこれを「大氷河期の到来」と表現しておりますが、その言葉からは地球規模の範囲であることと、時間的に中長期にわたるというニュアンスを含んでいます。

また中国はこれまで経済成長に隠れていろいろなものを隠してきておりましたが、それが鈍化することで国内問題に対し効果的な対応を国民に求められてきています。具体的には国内に存在する明確な経済格差の問題、地方・都市の戸籍の社会制度の問題、中央から離れた距離にある地域での民族問題など本当に共産党は頭が痛いと思います。

加えて国の成長ステージが安定期に入ったことで、どこの国でも見られますが高度成長後の経済と社会体制の新しい仕組みづくり(これはどこの国もうまくいっていない)にどうソフトランディングするかというところが大きな問題です。豊かになったといっても一人当たりのGDPの水準はまだまだ先進国の半分以下です。つまり中心部だけが発達して周辺はまだまだ昔のままの状態が残っている国で、13億人全体のことを考えることは並大抵ではないと思います。

一方で海外における資源の発掘、物流、事業展開について中国は一貫した中長期の戦略を実行中です。欧米の民主主義と違い政権交代の心配がない中国では中長期での一貫した戦略を実行しやすいという環境があります。
例えば天然資源と将来の市場の確保のためにアフリカのインフラ施設などに投資し、少なくとも携帯電話とネットサービスなどについてはしっかりポジションを確保しています。

最後に中国についてまとめると、これからは国内外に抱える問題のかじ取りが大変難しくなるでしょう。特に経済の成長鈍化が見えて、いろいろな問題が表面化してくるところで地方の民族運動がなどが起こるとソ連のようになる可能性も否定できません。
そもそも現在の中華人民共和国になったのが1949年で、それまでは三国志に象徴されるような戦国時代がずっとあっただけに、この国が現在の形で安定していると考えるほうが不自然かもしれません。

 


次にアメリカですが、実はそれほど変わらないのではないかと思っています。トランプ氏が大統領になったことでいろいろ言われていますが、大統領の権限が強いとはいえアメリカの取りうる選択肢は常識的でそれほど沢山あるわけはないというのが私の考えです。議会制のため承認が必要なことや、現時点で取り巻きのブレーンたちや産業界の協力者にもそれほど恵まれなさそうなので実はこじんまりとしてしまうのでは?と思っています。

それよりも本質的な課題として、グローバリゼーションの負の部分の多くが世界最大の経済国であるアメリカにのしかかることです。世界の安定という逃げられない責任に対してどう対処するかトランプ氏には少し期待したいです。(したい、と言っているのでまだ期待できないでいます。。)

 

ロシアについても気になる部分は多く、最近は領土問題でニュースなどをにぎわすことが多いのですが、やはり根っこのところには経済問題があります。ロシアには地理的に寒い北方に位置し海へのアクセスが不便であるという非常に不利な点と、広大な国土に石油やガスなどの天然資源を豊富に持つという恵まれた点が共存しております。
石油や天然ガスの価格が高い水準で安定しているときには経済も安定し、あまり問題は出てこないのですが、ここ最近はこれらの資源価格の下落により貿易収支が悪化しており、この分野以外に特別の強みを持たない同国は必然的に政治や軍事に頼らざるを得なくなります。

根本的にロシアは自分たちの負をどう解消するかをいつも考えているように思えます。他国との政治のカードの切り方が本当に将来の命運をわけるのでプーチン大統領の側近は本当に知恵を振り絞らないといけないですね。


最後に日本ですが、身近なだけに課題が現実的に感じられます。大きく3つほど何とかしないといけないと思っている問題がありまして、①国際化への対応②個性の教育③新産業の創生、です。

 

①国際化への対応
オリンピックはよい機会になると思います。国内の交通表示などを多言語にすること、通訳できる人の数を増やすこと、外国人と接することになれること。それらがすべて国内の身近なところでおこるのは多くの方が体験できるという意味でとてもよいと思います。これを機会に外国の旅行者が増え、また日本で働きたい人たちが多くなれば才能も国内にも集まり活性化すると思います。

大学や企業でも人的交流を深めるべきです。国民全員がグローバルになるというのは、本末転倒で目的と手段が入れ替わているので主張する気は毛頭ないのですが、ある程度やる気がある人が新しいチャンスを得られる仕組みはどんどんあってしかるべきです。

留学などで国外から出ていくばかりではなく、同様にもしくはそれ以上に海外のやる気と才能がある人が入ってこないと、海の外ではどんどん多国籍のチームが活躍しているので取り残される危険が非常に大きくなります。

 

②個性の教育
個性の教育は日本にとってこれまでの考え方の一部を変えることになると思います。画一的な行動規範が習慣として確立している日本の社会では「こうあるべし!」というのが強すぎて、それ以外のものを受け入れる寛容さがありません。

模範解答のない世界、または自分と異なった正解が存在する世界を経験して、様々なタイプのスタンダードや周囲と異なる個性を肯定できる教育が望まれる時代だと思っています。


③新産業の創生
こちらは様々な政権でよく議論の対象となる「成長戦略」を実現するテーマです。成熟した経済大国、消費大国である日本では、身のまわりに特に新しいものがなくとも
生活には不自由しません。それゆえ新しい製品やサービスが生まれにくく、また生活も安定しているので何か新しいことをやらなければいけないというインセンティブもありません。
そういう意味では「必要は発明の母」の言葉の中の「必要」がない社会なのです。これは先進国共通でもありますが、特に日本は外国人も相対的に少なく、また直接接触も少ないので海外でのニーズとか感じろと言われても無理です。

しかし今のままでは確実に日本の経済は収縮します。マクロ経済は中長期で見た経済状況を予見しますが、人口が減少していく閉ざされた社会では豊かさが感じにくいのは事実です。

少子化対策はもちろん必要ですが、それを実現するためには少子化の最大のネックとなっている社会の豊かさと経済的安定を実現しないと、どんなに保育所を増やしたり、経済援助をふやしてもそもそも子供を産もうという気にはなかなかならないのではないでしょうか。

ゆえに、新しい商品なり製品、サービスをつくるアップル創始者のステーブ・ジョブス氏のような人が現れて、iPhoneみたいな新しいプロダクトや、youtubeみたいなもう現在は使って当たり前の製品やサービスを作ることで、新たなる経済価値と未来を創っていくとが必要になってくると思います。

 


長くなりましたが、以上で今後の世界についての「雑感」おわります

。。。(2017/1/13)