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インド訪問記録(6/7-13)&インド最大のスタートアップイベントから見るスタートアップ事情

今回インド訪問は今年1月に続き2度目。訪問先はIT都市のハイデラバード(Hyderabad)で、この都市は初めての訪問でした。
 
マレーシア経由でインド入りしたハイデラバード国際空港はとても近代的で美しい空港でした。深夜24時ごろ到着にもかかわらずマクドナルドなどのファーストフードは開いており、人々も多く活気に満ちていました。

インドで市内の移動はuberもしくは同業のOlacabsを常々利用しており、これがタクシーに変わる生活インフラとなっていることはハイデラバードでも同じです。
空港からホテルまではuberを使いましたが夜中でも問題なくつかまります。uberはpremierの車を使うと運転手のレベルもまずまずで悪くないです。(値段はあまり変わらない)

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(夜中24時過ぎのハイデラバード国際空港)



初日の6/7(金)はまずスタートアップをサポートする最大組織の一つのT-Hubを訪問。
ここはインドのスタートアップ・エコシステム(様々な面でスタートアップをサポートする)を持っており、インキュベーションセンターのビル内ではメンター達からのフィードバックの部屋やざっくばらんに話せる食堂、フリースペースがあります。

またピッチイベントの開催やVCとのマッチアップなどを定期的に行っており、インド全体への広報活動も盛んで、サムスンなどの多くの外国企業がスポンサーに名前を連ねています。

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(充実した機能とスペースを持つT-Hub)


 
その後、同じ市内にあるIIT Hyderabadに行ってスタートアップの起業論について授業です。現在は夏休みのため学部生はあまりいませんでしたが、機械系の大学院生を中心に1時間半いつものように大学の講義形式で話してきました。
学生たちは理系なのか日本人みたいにシャイなところがありますが、みんな非常にすなおで真面目に聞いてくれるためスピーカーには嬉しいです。
IISc(インド理科大学院)もそうでしたが、インドでも理系の学生がシャイで真面目な傾向は日本と同じみたいです。
(ちなみに理系は男子率とサンダル率が高い 笑)

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(IIT Hyderabadの教室にて)

これまで訪問した他のインドの大学、大学院と同様に、このキャンパスにもインキュベーションセンターがあり、そこにはドローンなど研究から発生するスタートアップが元気に活動しておりました。

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(IIT Hyderabadのインキュベーションセンター)





翌日の6/8(土)はインド最大のスタートアップイベントである、HEADSTART主催のHS-X ”NATIONAL ENTREPRENEURSHIP CONCLAVE 2019"で、ゲストスピーカーとして起業論の特にファイナンスについての講演です。
https://headstart.in/hsx/
   

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今回のテーマは、スタートアップにとって関心のど真ん中であるファイナンス(資金調達)についてだったので会場は当たり前のように満席で途中から会場に入れなくなっていました。(感謝、感激!)
 
また満席のため室内クーラーが全くきかず、窓際の人たちが窓を開けたせいで室内の温度と湿度は野外と同じ38度。。。話しているほうも途中から大汗をかきながらの講演で、熱中症になるのではないか?と危惧される環境でした。
 
話の内容はスタートアップの基本的な戦略論から始まり、少しずつファイナンスの専門的な話に移っていきました。途中からIRR(内部収益率)やDCFなどの専門用語がでてくるようになりますが、参加者全員がCFOではないのでそこは分かりやすく前提知識がなくても理解できるように話したつもりです。
 
 
今回はテーマがテーマなだけに聞く人も真剣そのもの。講演が終わった後も何重にも囲まれて質問と写真撮影のリクエストがあり、名刺も途中から交換するのが困難になったので机の上に「持って行ってください!」と言って名刺を箱ごと置いたら100枚くらいが一瞬にしてなくなりました。

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(「起業した人?」と聞いた時の反応、インド人はノリが良いので最高!)

 

 

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様々な関係者から話を聞くところによると、スタートアップにとって資金調達はそれほど簡単ではないらしいです。インドにはユニコーン企業が約20社あり多い印象があるけれどもそれらはむしろ例外で、スタートアップが多くできすぎておりVCなども選別や目利きが難しいという話をよく聞きます。
また先進国には普通にある金融サービスや信用経済も不完全なところがあったり、法的な手続きに手間と時間がかかるなども問題として指摘されています。

実際今回は3回目のインド訪問で、これまで多くのスタートアップと講演後などに話をし帰国後も連絡を取り合っていますが、ほとんどのものは個人事業のレベルで将来の成長シナリオを作ることが難しそうで、あらためて成長や生存の難しさを実感しております。


一方で国や地方自治体、民間団体がこぞってスタートアップに組織的に力を入れていることは明らかであり、このサポーターであるHeadStartや会場提供や運営をサポートするT-Hubなどかなり強いネットワークを持つ強力な組織がしっかり機能しているように思えます。
 
自分なりに数回来て多くの関係者と話たなかでインドのスタートアップの特徴をいくつかまとめてみました。
 
1)とにかく数が多い
2)資金調達は一般には難しい
3)若者に人気がある
4)IT関係が多いが大学に行くと基礎研究をベースとしたものが増える
5)開発するエンジニアにはあまり困っていない
6)大学や大学院にはインキュベーションセンターがあり、それをサポートするスタッフなどの組織や制度が整っている
7)インドの市場だけをターゲットにしている企業が多い
8)国をあげて組織的にスタートアップを支援している
9)海外の投資家や事業家とは意外に接触が少ない
10)バンガロールやハイデラバードなどのIT都市では外資系のIT企業のプレゼンスが大きい
11)日系企業との接触はあまり多いとは言えない
12)海外の投資家はインドには関心があるもののITのアウトソーシングと少数のユニコーン投資以外では、付き合い方を模索しているところがある
13)日系VCは数少なめで日系企業からの投資はアーリーでは多くない
 
この辺りは、後ほど詳しくレポートにまとめる予定でおります。
 
 
イベント後にはわずかな時間でしたが、ハイデラバードが誇る”ビリヤニ”をローカルな有名店で食べてまいりました。
味は若干スパイシーなメニューもありましたがベリーグッド!!!
 

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今回もたくさんアポが入って短期間に多くの人に会う殺人的なスケジュールでしたが、起業家、インキュベーター、投資家、外国人の方など多様な人々とお話しまして感じたことは、やはりここは世界でもっともスタートアップが元気な場所の一つである!ということです。
 
帰国後2週間がたちますが、いまだにメールやメッセージのやり取りが完了しておらず、オンライン会議もほぼ毎日行われており、彼らのやる気と元気さを感じます。



次回は9月にもバンガロールカルカッタを訪問予定です。