(うちの社内の若者でも何名かは明らかに体型がスリムになっている)
https://neurospace.jp/
以下の図の左がコンディションが悪い状態で右が通常状態。明らかに違うでしょう?
最後になりますが、糖尿病や高血圧、脂質代謝異常(高脂血症)などのサイレントキラー系の病気だけでなく、徐々に進行する病気は日常生活でなんとかしないと元に戻れなくなります。もしもそれらに真剣に取り組もうとする場合に、この記事がお役に立てば幸いです。
「独り言」おわり。。。
基本的にそれほど嫌いなことでも苦手なことでもないので、特に最近は強く意識していませんが心掛けていること、練習したことなど参考になれば幸いです。
現在でも毎年200回くらい授業や講演、セミナーなどで数時間単位で話しており、近年は海外の大学・大学院や講演で話す機会が増えています。
最初に少し自分のプレゼン史における失敗や学習についてお話します。
子供のころから人前で話すことには全く問題なかったものの、自分の話がまとまっていないと最初に気づいたのは中学校の1年の授業中になります。
国語の授業で担任の先生にあてられたか自分で手を挙げたかは忘れましたが、みんなの前で話をしました。何かを質問されてその理由を答えていましたが、どうも説明がまとまらず循環していて何度も同じことばかり繰り返しているのに気づきました。
「***はなぜですか?」という先生の問いに対し、「これはこういう現象でこうでこうで、、、」といろいろ説明していましたが筋がたっていなかったので話が長くなっていました。
ここはシンプルに「***は***だからです。なぜならば***」と言えばよかったシーンだったと記憶しています。
2度目のプレゼン失敗は外資コンサルティング時代にクライアントと定期ミーティングの自分のパートで同様に話が長くなりました。
このころはロジカルにはメッセージはシンプルにまとまっていましたが、分量が多すぎたり前後で話題が行き来したりと聞き手にとっては内容の難しさも加わり理解しにくかったのではないかと思います。実際に聞いている方は、非常にまじめに資料のあちこちを探しながら聞いてくださった広い心の大手企業のお偉いさんでした。
若い戦略コンサルタントにありがちですが、頑張りすぎから内容を盛り込みすぎて消化不良の結果になってしまいました。
とはいえ苦手意識も大きな失敗経験もないまま過ごし、その後アメリカでマネージャーをやっていました。
ここは研修プロラムだったので毎日のように朝から晩まで代わる代わる自分や部下や外部の専門家が教室に来てプレゼンをするのですが、ある時自分の部下のプレゼンが下手過ぎてブーイングが起こりました。
そこは日本と異なり生徒の側も不満を大あらわにして”親指を下に下げる”行為にでる者が多数続出。結局そのパートは自分が即興で補足し、後日補習する形でなんとかなったものの、プレゼンの出来不出来でこれほどまでにチームや参加者の反応が違うことにある種の怖さを感じました。
このコースの最終日にはマネージャーとして自分が総括みたいなプレゼンをしないといけないのですが、さすがに部下の失敗を繰り返すわけにはいかず、またその分は取り返すぐらいの満足度を得ないといけないという義務感もあり、前日夜中に一人教室で2,3回リハーサルしました。
このリハーサルの目的は当時あまり英語が得意でなかったので、その練習のためという要素もありました。そこで夜中の2時くらいに教室でプレゼン練習していたらからだの大きな警備員のおじさんが回ってきました。
「(警備員)何やってんだ?」
「(織田)明日のプレゼンの練習、、、」
「(警備員)日本人は仕事熱心だなぁ」
「(織田)ありがとう」
「(警備員)ここに座ってちょっと聞こうか?」
「(織田)さんくすぅううう!」
で、ちょっとだけ聞いてもらったら。
「(警備員)悪くないじゃん!(パチパチ&ハイタッチ!)、明日がんばれよ!」
* 以上の会話はアメリカ国内なので全部英語
翌日は練習通りまずまずのプレゼンを実行。この日は念入りにホワイトボードに事前に全部まとまったメッセージと図をあらかじめ用意しておく周到さで問題なく終わりました。(英語が得意でないのでホワイトボードに完璧に事前にまとめた)
この時実体験ではじめてプレゼンも練習や準備が必要であることを実感。以来いくつかの原則を自分なりに踏まえて行うようになりました。
以下プレゼンのヒントをまとめました。
1)内容を吟味する
全体と部分をしっかり構成する
シンプルなメッセージ、シンプルな図で表現する
話す分量は多すぎても消化不良になるので注意する
(細かい文字や文章の押しつけは不快感も伴う)
一般論の後には必ず具体例で説明する
話には強弱をつける
大事なメッセージが何であるか終始心にとめて、休憩前や終了前にまとめで確認する
2)つかみ(導入)に工夫する
最初のアイスブレイクの入り方が大切。最初の数分で聞き手の印象はきまる
導入部で必要なのは、自己紹介と自身の魅力付け、テーマの重要性の理解、聴衆との距離を縮めること
聴衆に興味を持ってもらうため、最初に持ってくる問題提起やエピソードは工夫する
全体の構成を最初に説明し話の道筋を見せる
3)声をよくする
心地よい声という「質」にこだわる。声の質で聞き手の印象はだいぶ変わるため(カラオケ歌うときのみたいに)
意識して注意するのは、「大きさ」、「高さ」、「速度」
マイクを通す時と通さない時では発する声の質をかえる
どちらも聞き手が最も心地よくなる音になるように
講演の前には喉を大切にする。たくさん話し過ぎるとしゃがれ声になりがち
特に前日にホテルに泊まる時には室内の”湿度”に注意し必ず加湿器をつけて寝る(特に北海道など寒い地域)
話す速度とその変化、ならびに間合いをうまく使い聞き手の注意をコントロールする。
同じペースは一定時間がすぎると誰でも飽きる。飽きてきたときには話題を変えたり、固い話題から少し柔らかい話に変えるなどの変化を入れる
間合いは大切な話に入る前にひと呼吸置いたり、感情をこめて話すときにしっかり気持ちを入れてから話すなど、聴衆にその部分の重要性や自身の思いなどを伝える役割がある
4)聴衆を徹底的に観察する
彼らが何に反応するか、どんな話題に興味を持つか、理解する力はどれぐらいあるか、展開は速すぎてついてこれないか、またはゆっくり過ぎて飽きていないか、など反応を見ながら調整する
聴衆とトーンを合わせる。いったん波長があえばあとは非常にやりやすくなる
聞いている人のニーズに合わせたテーマを話ながら探り、それを中心に話を展開する
聴衆の割と端の席に座る数名を”定点観測”し、定期的に視線を巡回しながら彼らの反応をみる
後ろの聴衆の表情がちゃんと見えるようにするためにコンタクトレンズを入れる
5)身体の位置と使い方に気を付ける
基本的に聴衆に正対しお尻をむけない
自分の立つ位置はスクリーンの横の聴衆から良く見える位置で、スクリーンを指さすときには聞き手に対して45度になるように
腕の動きはとても大きなメッセージになるので工夫する
じっとしているよりは自然にスクリーンや聴衆の方向に動いたほうがよい
(実際万歩計で測ると2時間で数百歩、歩いている)
背筋を伸ばし姿勢をよくする。猫背なのはネガティブな印象を与える
6)表情を明るく
話す前に楽しいことや、過去のプレゼンでうまくいったシーンを思い出す
これから話す目の前の聞き手が、自分の話を聞くことによりよりすばらしい人生に変わっていくことを期待する
自分でも楽しむようにする
印象の良い表情を作る方法のひとつは、プレゼンの前に「赤ちゃんの笑顔」の写真集を見ること(Googleに探してもらおう)
自分の視点の範囲に気を付ける。当然、全部をカバーすべきであるが前後左右の移動速度に注意
(速すぎず、遅すぎず)
7)その他
質疑応答の時には聞いている人のところに近づき真正面を向いて目を見てしっかり聞く
質問した相手の名前が分るなら、その人の名前を回答の中にいれる
「**さんのこの疑問は、、、、」
質問には完璧にこたえる
自分の個性を上手に生かすようにする
原稿は原則見ない。見るべき視線の先は聴衆
時計を必ず見えるところに置き時間配分ができるように
終了は時間厳守。セッションが長い時には90分以内にトイレ休憩を入れて聞き手の集中力が続くようにする
ユーモアという武器を持つ。質疑応答などでは真面目に答える前に、ちょっとしたユーモアやジョークで和ませると回答を待つ人の期待値が高まる
ユーモアを作り出すのは、日頃の教養、用意周到の準備と遊び心(これは難しい)
最後に、上記の要素を理解した後に必要なのは練習です。そのためには客観的に自分のプレゼンを評価する必要があり、ビデオで撮ったり、場合によってはコーチを付けることが効果的です。
コーチは、自分では気づかない癖を指摘してくれますし経験がある人はある程度一般的に陥りがちな欠点を発見することが早いです。
特に意識していないけど、話の中に頻繁にでてくる言葉として、「やっぱり」、「えー」、「つまり」、「なぜならば」など一定の傾向があり、どのワードが出てくるかによっても聞き手の印象は変わります。
あとは本番の場数をこなしていると度胸も尽くし、自分のパターンもできてくるので練習以上に機会を求めてプレゼンの数をこなすことが上達の最短距離だと思いますので、どんどんトライしみてください!
Good luck!
毎年年始のこの時期に、今後一年間どうなる?のような記事を書いています。
今年もざっくばらんに気の向くままですが、現時点で自分が考える予想される1年についてまとめてみようと思います。
<<目次>>
・世界の大きな経済の流れ
・二大大国ー中国とアメリカ
・我々は何をすべきか?
<世界の大きな経済の流れ>
昨年2018年は一年を通じて大きな動きはなかったという印象です。気候変動によるものか日本を含む各地で自然災害にあいました。科学が進歩してある程度予測できるようになったと言いつつも、まだまだ自然の力の前には人類ははかない存在のようです。
アメリカ、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、中南米とすべてにわたって新しいスキームが誕生したと言える大きなイベントはなかったように思えます。個人的には心配してずっと見ていたヨーロッパもそれほどそれほど大きな混乱はなかったようです。
ただしEUが求心力を失って機能不全になるという根っこにある懸念は残ると思います。崩壊する、というより機能不全になる、という確率のほうがはるかに高く、これは議会政治や民主主義が根本的に内包する構造的な課題です。
ヨーロッパの局所的ではあるが影響のあると思われるイベントは、間近に迫ったイギリスのEU離脱です。今年2019年の3月29日が離脱に期限になりますが、イギリス首相であるテリーザ・メイ氏は国内の政党間での利害調整に大変苦労しており離脱条件について議会のコンセンサスが得られずにいます。責任ある担当者が何度も代わり「サジを投げる」状態に近くなっており、にっちもさっちもいかないように見えます。
どのような結末であれ、イギリスの離脱は北アイルランドなど局所的で限定的なものですが、その後ヨーロッパ全体に「EUはもはや失敗だ!」というメッセージになることが中長期では問題となってきます。
イギリスで見られたように多くの移民や難民が到来し、街中の外国人比率はどんどんあがりました。これが国内の雇用問題、移民のコスト負担の問題となり、”ナショナリズム”というインフルエンザのような拡散力の強い思想となってヨーロッパの他の国々に広まることで、イギリスと同様の状況にいきかねないです。実際にドイツでさえも移民反対を掲げる政党が得票を伸ばす中、国内世論の調整と連立政権内でのコンセンサス形成は大変難しいものになっています。
また別の視点ではイギリスのEU離脱は間接的に、大きな経済圏の再編成を促すかもしれません。大英帝国という過去の影響を失いつつもイギリスはアメリカのルーツということもあり現在でも金融界を中心に一定のプレゼンスを持っています。そのイギリスがEUから離脱したということはアメリカもヨーロッパ大陸とのコネクションが弱くなることを意味します。それはくしくもトランプ大統領の保護貿易というポリシーとも重なりEU対アメリカの構造が少しずつ出てきています。米中の貿易戦争という側面に隠れていますがEUとアメリカでも双方向で関税を引き上げるという大人げない戦いをしています。
元々EUはアメリカという大きな経済大国に対して規模で対抗する意味合いも多少持っているので、そういう意味でクッションみたいな存在であったイギリスがEUからいなくなる意味は世界の勢力図争いにおいて少なからず影響があると思います。
直近トランプ大統領がNATOからの離脱を示唆していますが、これもヨーロッパの特に大陸側とアメリカの距離を遠くすることを意味しており、変な方向には行ってほしくないというのが率直な感想です。
株式、債券、為替の動きは全体としてマイルドでした。11月からGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)などのIT企業の株価が暴落し、いったん世界市場全体の下落を招きましたがこれは想定内といえるかもしれません。そもそもこれらの企業の株価は将来の業績を見込んでおり、どう考えても永遠にこれまでの成長率を続けることができないので、そろそろこの辺で冷静になったとでもいえましょうか。
株式や債券、不動産などは相場全体として、相変わらずの行き場を探す過剰流動資産による恒常的なバブル状態になっています。実体経済と金融資産の乖離はもはや限界点だという方も多くいます。GAFAはその一時的な投機先と見られているのであれば、今後は困難が待っているかもしれません。
為替はトランプ大統領の突然の発言で急に上がったり下がったりするかもしれません。
現時点では日本円は他のどの通貨と比べても安定とみられているようです。これは昨年と変わらない状況ですが、消去法的に日本が相対的にリスクが少なく「有事の円買い」基調が続いているからです。
商品相場では原油価格は2019年の前半は高めに推移しましたが、後半は下落基調でした。これは中東をはじめ産油国にとっては悪いニュースには違いありませんが、一朝一夕で変わる中東情勢で上がったり下がったりするので短期では需給関係だけで予測するのは難しいでしょう。基本的には毎年増産しているアメリカのシェールオイル、シェールガスは原油の安定共有を可能にします。これにより中東の国々の世界におけるプレゼンスを相対的に小さくし、これが中東内での新たなパワーバランスの変化という極めてセンシティブな事情につながります。
世界全体での消費需要やエネルギー需要などを考慮すると、石化燃料の総需要量は順調に増えていきますが、アメリカや中国で確認されているシェールオイルの埋蔵量と採掘量が増えるにつれて市場心理的にはどこかで重い天井があるように思えます。
最後に地政学的リスクがありそうなところを少しピックアップしておこうと思います。
北朝鮮は中国になかば見捨てられて行き場を失っています。これまでは他国とけんかしても中国という経済的、軍事的バックアップがあったので威勢が良かったところがありますが、これがほぼ期待できないとなると、どのような結末かは分かりませんが、韓国、中国、もしくは欧米のどこかと平和的な関係を結ぶしかなくなります。最も可能性が高いのは同民族の韓国との提携、または合併です。しかし国内でも多くの問題を抱える韓国にとっては率直に言って負担以外の何物でもありません。かつて韓国の首相がドイツのメルケル首相に東西ドイツ統一時の負担について質問した時に、その要する時間や金額を聞いて卒倒しそうになったのは当然のことです。現在の北朝鮮が持っている様々な負債と韓国の経済的な余力を考えると、おんぶして両方共が倒れて怪我する状態に近いと想像します。
次に不確定な未来があるのはトルコです。オスマン帝国復興を目指すカリスマのエルドアン大統領のかじ取りが怪しくなると思います。理由はこれまでなんだかんだ言っても経済的成長があったことと、仮想の外敵によって国民をまとめていましたが自国通貨の暴落、高いインフレや失業率などが重なるとさすがに国民も黙っていません。
上記の状況はロシアでも現れるかもしれません。これまでカリスマで君臨してきたプーチン大統領も、トルコと同様自国通貨の暴落、高いインフレや失業率がすすみ国民の生活が今以上に悪くなるとこれまでのようには行かない可能性があります。
現在もロシアは天然資源頼みの部分が大きく、原油などの市況により国益が決まるという他力本願です。ここから工業化へと脱却を目指してますが、残念ながら大きく変わる様子は見えません。
上記を状況を鑑みて、今年2019年全般は天災や大きな争いがなければ全体として昨年同様「そこそこの平和、そこそこの好況」ように思えます。
ただしこれは現状がよい状態で回っているわけではなく、適切な対策やシステムも見つからないままモラトリアムでだらだら時間が過ぎていくとも解釈できます。
どこの国も議会も特効薬が見つからない中、本来は問題の原因から解決すべきですが、これらは通常痛みを伴うため先送りにしがちであり将来に禍根を残しています。
あるべき姿としては問題は小さなうちにウミを出し切るくらいの対策を取ったほうが、傷は軽症で済みます。しかし残念ながら大きな病気にならないと病院に行かないのと同様に、問題が大きく顕在化して初めて取り組みその時には相当にお金も時間もかかる、というのが歴史的にみれば普通かもしれません。
ちょっと残念な結論ですね。
<二大大国ー中国とアメリカ>
アメリカの動向はある意味トランプ氏という良くも悪くも大変ユニークでPR好きの大統領がいるため予測はある程度可能です。むしろ不確定要素は分かりやすいけど、本当にどこまでやるの、つまり「まじか?」みたいなところにどこまで国民と周囲がついてこれるのか、というのが不確定要素です。
昨年2018年11月のアメリカ大統領の中間選挙の結果、アメリカ議会は上院・下院で共和党と民主党がそれぞれ過半数を取る「ねじれ」状態になり、トランプ大統領は当然動きにくくはなります。現時点では次期大統領選挙で再選されるという予想のほうが若干多いようですが、民主党の反発、共和党の中での足並みの乱れ、そしてブレインを含むトランプ氏のチームでの不協和音により安定した基盤を失い、PRばかりが目立つようになればこれまで支持層であった中間層もこのまま彼を支持するかどうかは分かりません。
トランプ大統領の方針を一言で表すと「アメリカだけが良ければよい。他の国は自分たちでなんとかしてね!」というスタンスです。アメリカは歴史的にも介入主義と孤立主義をシーソーのように行ったり来たりしている中で、現在は孤立主義にいるところです。
彼にとっての最大の懸念事項は自身の再選がどうなるか、でしょう。次の選挙の得票を意識して米国民の中間労働層、キリスト教福音派の耳に聞こえの良い政策をPRしつつ、これらを切り札のカードとして対外交渉するという彼独特のビジネスマンの感覚で国政を行っている印象があります。
したがって乱発しがちな大統領令そのものを見るというより、これは選挙民に対するPR用で、実際はこれらを交渉のカードとして他国との条件交渉に利用するということを意識的に行っているように見えます。
このあたりは大義名分と対面や体裁を気にする最近の大統領との大きな違いで、タブーとだけど国民の本音(=「アメリカが良ければよい!」)を語るスタイルは、過去ではレーガン元大統領に近いのではないかと思います。レーガン元大統領は国民に聞こえのよいシンプルな政策を展開し人気もありましたが、その後の国家財政のことを考慮すると評価は決して高くなく、トランプ大統領も同じパターンに陥る可能性があります。
次に中国ですが、数字の上では他の先進国と比べても高い水準の経済成長をしているように見えます(注、中国の実際のGDPは公表数字よりも少ないことは大体わかっている)。しかし一時期の勢いがないことは明らかであり、そろそろ安定期に入るのはこれまでの20年余りの成長期間を考えると自然なことです。
人々の生活は都市部を中心にかなり豊かになりました。都会に行くと若者はiPhoneを持ちおしゃれをして、まるで東京のようです。インターネットのサービスの利便性はもはや世界一と言ってもよいでしょう。ネットでの決済の普及率は世界のトップクラスで、現金を持っていると買い物の時に支払いに困るくらいです。(WeChatPayとAliPay)
先進国と比べればまだ高い成長率を持っていますが、不良債権の問題は全く解決していません。これは日本のバブル崩壊後とほぼ同じ状態ですが昨年中国が取った経済政策も1990年代の日本と似ています。本来は不良債権だらけの傷んだバランスシートの処理をしなければならないのですが、これには痛みが伴うため先送りしがちになります。2018年の途中までは不良債権処理を意識して動いていたようですが、2018年の途中から景気の失速により不良債権の拡大と失業問題などの懸念から、財政投資による景気刺激策重視にもどりました。つまり景気重視のために不良資産の整理をいったん棚上げにしました。これは本当は死んでいて終わらなければならない”ゾンビ企業”を延命させることにほかなりません。
1990年代にまさに日本がこれをやって、その後の処理と景気低迷にお金と時間がかかったのは今では誰でも知っていることです。ゾンビ国営企業・国有企業の延命と、不良資産化していて正確な金額もわからないアングラマネーの”シャドーバンキング”の問題は中国経済の将来に大きな禍根を残すでしょう。
米中という関係でみると2018年で起こった最も大きな出来事との一つは関税率をお互いに最大25%を課税する貿易戦争です。トランプ大統領は根本的に保護貿易を基本路線としていますが、鉄鋼やアルミなど天然資源から始まり、自動車や電気製品まで幅広く関税をかけはじめました。これは米中のみならずEUに対しても自動車関税を上げて、これはヨーロッパの製造業にとっても大きな痛手です。
しかしこれはアメリカにとっても得策でない面も多々あり、例えばアメリカ人の使うiPhoneはパーツを中国に集めてそこでアセンブリして完成させてアメリカに輸入していますが、それがスムーズにいかなくなります。中国からアメリカに輸入する際に高額な関税がかかるためにアメリカ人が買うiPhoneの価格が上昇し購買が進まなくなるからです。
現代は孤立した国という単位で物を作っているわけではなく、様々なサプライチェーンをいろいろな国で分担することで製造や物流、貿易が成り立っており、どこかの一点が滞ると全体の流れが悪くなることから結局これはアメリカにとっても回りまわって悪影響となって帰ってきます。
したがって貿易戦争については、遠からず各国が大人の対応をして挙げたこぶしをどうにかおろそうかと着地点をさぐることになります。
この貿易戦争を別の視点で見てみると、ハイテクを中心とした覇権争いの側面が見えてきます。ハイテク産業はインターネットサービスやスマートフォンなどの個人用品やサービスだけの問題でなく、国防や軍事にも関連してきます。実際にサイバーセキュリティは大きな国防問題であり、そのためのインフラやルール作り、個人や国家の情報の保護という大きなテーマも含み、そういう点でもアメリカはここで中国に負けるわけにはいきません。
もちろんビジネスでもアメリカで開発したテクノロジーを中国が拝借して廉価で作り世界中で売りまくりシェアを取ることは阻止したいです。中国は国内に約14億人の消費者がおり一国だけ欧米プラス日本の人口を超えています。この経済規模をバックに大量設備投資、大量生産、海外への輸出、世界での覇権を取るというシナリオを展開することが出来るので個人のスマホの製造、各国の通信インフラの取得、ビジネスでのシェア獲得がシナリオとして描けます。
この覇権争いの土俵で、どこの国がデファクトスタンダード(標準)を取るかはアメリカにとって大きな問題です。
<我々は何をすべきか?>
日本を見てみると2018年は、まあまあ、というところでしょうか。特に何か良かったわけでなく、特に何か悪かったわけでもありません。決して嫌味ではなくこの国は平和だと思います。すごく良いこともない、だからなんかよくわからない、というのは平和な証拠です。
景気は2018年は総じて悪くはなかったです。日銀はインフレ2%をターゲットにして緩やかな物価少々、賃金の上昇、消費の活性化を目指していますが残念ながら昨年もそれ以前同様インフレターゲットは達成できず、そしておそらく今年も達成は難しいと思います。
しかし消費者としてはそれほど物価も上がらず、同じように生活が送れているので、大きな好況感もない代わりに生活水準は保てています。
2019年は国内については大きなイベントがない限りは、良くも悪くもこのまま好景気を持続します。ただし米中の貿易戦争は確実に世界経済に悪影響を及ぼすので、これは同じエコシステムの所属する日本も無視することはできません。残念ながらグローバル経済がつながっている世界では、どこかの国や地域で問題が起こると程度の差はありますがその影響は必ず自分のところにも回りまわってきます。
トランプ大統領のかじ取りは日本にも大きな変化を強いられます。もっとも大きかったのはまとまりかけたTPPから就任直後に脱会を宣言されたことです。アメリカは一刻でも経済規模は大きく離脱は大きな痛手です。しかしその後TPPはその後アメリカ以外の11か国すべてで”TPP11”を作り昨年末には合意し実行されています。(まだ全部の国ではない)トランプ大統領はTPPではなく二国間協定であるFTAなどで国ごとの関係を構築しようとしていますがこれは事務的にも非常に非効率です。その観点から進化したTPPのような地域包括の経済制度にアメリカがどう対応するかは分かりませんが、どこかで妥協点をみつけて突然加盟するということもないとは言えません。
日本は米国からの一方的な関税アップを言われている中、EUとはTPPに近い包括条約を結んでいます。「日本・EU経済連携協定」という名前で昨年締結され2019年2月1日に効力が発生します。内容はEUと日本の間のEPA(Economic Partnership Agreement)なのですが相手がEUなので二国間ではなくEU全部の国と日本との協定ということになります。
トランプ大統領はこの例のように「America First!」を強調しすぎると、周囲に経済連合がたくさんできて自分だけ不利になるということをそろそろ分かり始めたなら、TPPになんらかの形で加わってくることもそれほど遠くないかもしれません。
さて最後になりますが、日本が独自で主体的に活路を見出すためにはなにをすべきでしょうか。ここはすでにいろいろなところで何度も言われてきていることでまとまると思います。
具体的には、働きかいた改革による余暇の充実、ベンチャーなどの新規事業の活性化、豊かで子供がたくさん産める社会の実現、などです。やるべきことはずいぶん昔から分かっています。もうそういう議論は置いておいて、誰が、いつ、どのように行うかという時期に来ています。
個人的にはポジティブに以下の課題を解決しなければいけないと思い動こうと思います。
(1)創造性を中心とした個性を生かす教育(出る杭をのばす)
(2)ベンチャー振興(新しいものを創る)
(3)社会全体で赤ちゃんを育てる仕組み(子供に明るい社会)
(4)グローバル人材の育成のため人材交流の規模大幅拡大(双方向で)
(5)サステイナブルで自然に優しいエネルギー利用(サイエンスの事業化)
(6)QOLを実現する健康予防のシステム(病気にならない)
(7)シニア人材の活躍の場を創生(ノウハウや経験を生かす)
(8)AI、IoTやRPAなどの導入による人材不足の解消(新しい技術・インフラの活用)
(9)日本独自の文化の見直し(コンテンツの宝庫、観光資源)
(10)シニア向けのローコストの社会(集合住宅、集団介護など)
長くなってしまいましたが、今年もよい年になりますように。
。。。(2019/1/13)
*エビデンスに基づいたものを参照して書いているつもりですが、専門家の意見をちゃんと聞いて判断してください。
これは病気ではなく人間の生来の性質です。
冬は本来食べ物が取れないので、人間の体は活動量を抑えるべく、内にこもってエネルギー消費を少なくするように作られています。
眠くなる、やる気が起きない、は怠惰ではなく純粋な生理現象です。
それを決める環境要因は、日照時間と気温です。
日照時間が短い北欧の国々では、秋から冬にかけてうつ病の発症率が高いのは自然なことです。
また寒いと外に出るのはおっくうになります。寒いところでは最悪死ぬので、外に出たくないのは生命にとって当たり前の意思決定です。
なので、これら冬特有の体の反応を病気とネガティブにとらえるのではなく、冬には冬の生活をすること、またそういうものであることを理解し対応すればよいのです。
また、もし「やばい!」状態になった時に科学ではどうすべきかも回答がでています。
(1)日光に当たる
(2)トリプトファン(タンパク質の一種)をしっかりとる
(3)血糖値を乱高下させる炭水化物だけの食事を避ける (*)
(4)夜にしっかり寝る
(5)運動する(特に有酸素運動)
(6)部屋をあたたかくする
(*)炭水化物の中でも血糖値があがりやすいGI値の高いものを単体で食べると最悪。
つまり、休暇取ってハワイいって、ジムに行って筋トレして、野菜中心、たんぱく質たっぷりの食事をとって、ビーチでランニングして、夜に疲れて寝れば良くなるということです。
*私のバケーションの取り方です。(今は無理。。。)
反対によく見受けられる悪いパターンは以下の通りです。
>なんとなく気分が乗らないで落ち込む(それが自然なのに、、、)
>食べるのがおっくうになり炭水化物だけを簡単に済ませる(タンパク質がたりない)
*血糖値が乱高下して眠くなったり集中できなくなったりする
>家にひきこもる(日光にあたらない+運動不足)
>睡眠の質が悪くなる(回復しない)
特に女性は月ごとのサイクルにより感情に関わる物質の量が異なるため、男性よりはアップダウンが激しく、症状が出やすくなるのでよりケアが必要です。
今回の旅は香港からはじまり、中国深セン、シンガポールと経由し約1週間で4か所目の訪問でした。
目的は2つで、アジアのみならず世界のIT中心地であるバンガロールの視察とコラボ案件やパートナーの発掘、およびインドのビジネススクールの最高峰の一つであるIIM-B(Indian Institute of Management)での講義のためです。
インド訪問は実は人生で初めてだったので、行く前から若干不安があり、しかも今回は長旅の準備でほぼ予備知識なしで入国。
SIMカードがないとスマホが使えず死活問題となるので、そこだけは前日の入国前にシンガポールでローミングで使えるSIMを入手し、インド入国後のライフラインを確保しました。
(写真はMGロード駅の周辺)
(Your Storyのインキュベーションオフィス)*20時過ぎのオフィスなのであまり人はいない。
(食事をしたバンガロール最大のOrionモール)
昨年の年初にブログで一年をながめてみた雑感を書きましたが、今年も”軽く”思いつく範囲で重要なテーマについてまとめてみました。
第一章 世界の政治と経済
第二章 テクノロジーのインパクト
第三章 人材と教育
第四章 まとめ
<第一章 世界の政治と経済>
昨年は全世界的に見れば比較的大きな事件が少なかった一年と言えるかもしれません。ヨーロッパで悲しいテロの事件は度々ありましたが戦争というところまではまだ遠いように思えます。
IS(イスラム国)もアメリカを中心とした撲滅作戦が功を奏して勢力は格段に弱くなりました。一方で弱体化して統制が利かなくなったテロ集団がより理性を逸脱した行動に出る可能性も増えてきました。ひとつひとつは小さな事件かもしれませんが、関係もない人々が被害者になるという点では無視できないところです。
今年一年についてはこの状態を継続することが短期的には予想されますが、グローバリゼーションでつながっている世界経済はどこかでほころびが出ると瞬時に全体に波及するリスクがあります。以前にあった、ヨーロッパの小国であるギリシャがデフォルトを起こした時に全世界を震撼させたのが良い例です。局所的な地域紛争や民族問題がやがて大きな事件に波及していく、これが今年一年でありそうな悪いシナリオです。具体的にみると北朝鮮、シリアを含む中東、東シナ海の領土問題、カナダやスペイン、イギリスの民族独立問題、そして最後に忘れてはいけないのがアメリカのトランプ政権のかじ取りなどです。
マクロ経済については昨年全体として大きな問題はなかったという印象です。2017年のGDPの予測数字はどれも悪いものではなく、その基調は今年も前半は続くことが予想されます。一方で多くの先進国が懸念するデフレについては金融・財政政策のインフレ目標を達成することができずにいます。労働賃金の上昇が抑えられ中間層が高給を取る機会が限られる状況では、プラスとなる需要が生まれにくい状態が続くでしょう。
産業や地域ごとに見てみると、好調・不調の格差は依然残っており、途上国の低所得の一次産品を輸出する国々、特にエネルギー輸出国に依存する中東やサハラのアフリカの国々では社会や政情不安が起きています。
以下ではもう少し地域ごとに見ていこうと思います。
◆ヨーロッパ
EUのリーダー格であるドイツやフランス、そしてそれらに準ずる経済規模の大きいイタリアやスペインなどで、EUに対する肯定的な意見と否定的な意見に分かれ今後についてのコンセンサスが得にくくなっています。それは安定した政権の確立が難しくなることを意味し、国内の地域の独立問題なども重なって、国内での世論の分裂を招き、その結果選挙ではこれまでの保守中心から極右や極左の政党も勢力を伸ばし始めてきます。彼らが国民の中間層を取り囲むことができれば一気にEU離脱が進み、一つの国の離脱が他の国にも影響を与えるドミノ崩しのような状態になるとEUは一気に崩れるかもしれません。
どこまで行くかは不明ですが、いずれの場合もこれまで20年余りを要して作り上げたEUのシステムが、このままでは安定運営できないことが露呈し多くの部分に変革を求められることは確かでしょう。
◆アメリカ
アメリカはトランプ政権が経済最優先の政策をトップダウンで強行し、これは株価を見れば分かるように経済にとってはよいニュースです。特に減税は経済界にとって大変好意的に受け止められます。ただしアメリカ中心の政策をしてもグローバリゼーションの流れがよくならないと結局はアメリカもよくならないので、全世界への影響を考えないとアメリカの将来は見えないです。
アウトソーシングによる労働力の海外移転、節税目的の本社移転、所得と教育の格差拡大などの問題は重荷になったままで、それを解決するための減税や景気刺激策はハンドリングを誤ると中長期的に貿易と財政赤字という形で政府に”負”の負担として残ってしまいます。
アメリカが世界で求められる機能の一つに警察官として世界の紛争を解決してほしいというニーズがありますが、これは最近のトランプ政権の方針にもみられる通り、かなり消極的になっていると言わざるを得ません。これを熟知している中国やロシアはこれをチャンスととらえ自国のやりたいように軍事行動を展開しようとします。
尻込みするアメリカとロシア・中国との関係は、中東などの勢力が不安定な地域における地理学的リスクとして顕在化しはじめ、これが世界を不安定にする要因の一つになってきます。
◆アジア
アジアの経済は他のエリアとの比較では相対的に安定します。もともと世界の約2/3にあたる人口を持つこのエリアは、戦争などの動乱がなければ個人消費の伸びと海外からの技術と資金の提供がある間は安定的に成長します。
特に規模が大きくトップダウンの政策がとれる中国の影響力が世界的にも大きくなってきます。もはや技術的にも先進国とならぶ水準を持つ製造業や、世界のトップレベルのITサービスなどにおいて、自国の巨大なマーケットをバックにどんどん新しい産業やサービスが発展しています。懸念点は不動産バブルからくる不良債権が規模や内容が不透明なまま残っていること、格差が大きくなってきて市民の中の不満が大きくなってきていることなどです。もし仮に今中国のバブルが崩壊して株・不動産などの大幅下落が起こった場合、世界でこれを救えるだけの余力がある国はありません。2008年にアメリカを発端として世界を震撼させたリーマンショックの時は、中国の経済が絶好調でそこのパワーに救われたことがあったのですが、今回もしもこの中国からクラッシュが起こったとするとそれを救える国は単独では存在しません。また大国のアメリカやEUのリーダー達も自国の事情が最優先で、仮にそこに救いの手を伸ばす場合も国民の理解が必要でこれには相当の時間とエネルギーが必要になってくるでしょう。
世界で2番目の約13億の人口を持つインドもマクロ経済で見るとまずまずですが、中身を見ると国内はバラバラなところが目立ちます。伸びている産業や業界はアメリカやイギリスとの関係もあり非常に好調です。一方で古い習慣やシステムも多く残っており、都市や地域によって異なる政策は全体として格差をより目立つものにしていると言わざるを得ません。
ミクロ的にみると制度面や大きすぎる多様性からくるカオス状態のため不安視する声も大きいのですが、全体としては極めて順調であり現在の国民生活の水準を考慮すれば中長期でその成長余地は世界で最も大きな国の一つであることは確実です。
◆アフリカ・中東
アフリカは現在も資源価格に経済全体が大きく影響を受けています。2000年以降しばらく原油を中心に資源価格が高騰していた間は産油国が多い国を中心に経済は全体として成長しました。その一方でインフラ整備など将来への準備が遅れた結果として資源価格が落ちてきた現在は元のアフリカに逆戻りしているところがあります。トップの汚職や民族や部族間の争いもいまだに絶えない中、少しずつ上向きになってはいるものの課題はまだまだ多いと思います。
北アフリカから中東は混乱が続きそうです。特に原油価格の下落は産油国の多いこの地域へ大きな影響があり、これまで原油で外貨を稼いでいた比較的豊かな国々に大きな変化が現れます、現体制の崩壊、政治や経済システムの改革、場合によっては地域の紛争ということも勃発し、これに宗教が絡んでくるので事態はより複雑化します。
個別にみるならトルコとサウジアラビアは注意が必要です。トルコは政教分離が進んで西洋化した時代に完全に区切りをつけて、もとのイスラム教中心のオスマン帝国に戻ろうとしています。サウジアラビアは原油価格の下落によりこれまで豊かだった財政状況が一気に悪化しました。このままでいくと近い将来経済の破綻により現在の王制中心のシステムが大きく変わるかもしれません。
◆日本
日本は世界的に見ればかなり平和な国であると思います。国民の実感はあまりないかもしれませんがマクロ経済は過去最高レベルくらいの好調さです。地政学的リスクが比較的少ないのも安定の要因ですが、朝鮮半島のリスクは国民が考えるより大きいと思います。これは日本国内のメディアが情報統制されている結果ですが、海外の複数のニュースリソースを元に実際に北朝鮮がどうなっていてどれくらい危険があるかなど自分で判断するしかありません。
直近は比較的安定している国ですが、中長期でみると根源の問題はあまり解決していないと言えるかもしれません。少子高齢化と労働力不足の問題はやがて経済成長の足かせとなることは確実です。また政府の財政赤字の拡大は直近の景気対策とはトレードオフの関係で、近未来の経済のために将来の借金を大きくしている事実は我々はもう少し真剣に受け取る必要があるかもしれません。
医療や年金など数量的にシニアに厚すぎる予算配分はやがて若い世代に不幸をもたらします。古きを大切にする良い文化を守りつつも、新しいシステムを構築するために何かを犠牲にして変わらなければならないことを全国民がコミットすべき時期はもう来ていると思います。
直近に大きな問題が少ないのであれば、この良い時期にこそ大きな変革にもっとも適したタイミングであると思います。
<第二章 テクノロジーのインパクト>
ITやAIがさかんにニュースやメディアで取り上げられることが多くなってきました。ほとんど毎週のようにビットコイン、フィンテック、ドローン、AIなどIT関連の記事があちらこちらで書かれています。また日常生活でもIT化は加速しており多くのサービスがスマートフォンでできるようになってきました。物を買うEC(イーコマース)はもちろん、LINEなどのSNSはこれなくしてはコミュニケーションが成り立たない世界となっています。
今後数年でデジタル化、IT化がすすむ分野の一つにデジタルマネーや電子決済の分野があると思います。日本でもSUICAなど交通系電子マネーの普及率は高いですが、小売りでそれが常に使われているかといえばまだそこまで普及していないのではないでしょうか。コンビニでもコンビニの独自のカードがありますが、いかんせん交通系カードとコンビニカード、さらにはどこかのマイルプログラムなど乱立しすぎていて、どれか一枚あれば全部用事が足りるという状態にはなっていません。
昨年香港と中国の深センに行きましたが、それぞれで種類は違いますが電子マネーが普及しており、持っていると大変便利でそれひとつで全てのサービスの支払いが完結します。(深センでは外国人はWeCatPayを使えないためその分大変不便で困りましたが)これがすすむと無人店舗も増えてきて、実際に買い物でセルフレジを経験しましたが待ち行列もなく大変スムーズで便利でした。シンガポールでも最新の空港ターミナルはすべてデジタルで処理する無人のオペレーションになりました。
これらの動きは支払いの方法、決済の手段のみならず、いろいろなサービスのオペレーション自体も変える可能性を持っています。これに無人の自動運転やドローンなどが組み合わさってくると、それほど遠くない未来で同じものを買う場合でもやり方が今までとは全く異なる方法になっているかもしれません。
デバイスという点でテクロノジーを見るなら、現在は多くの機能がスマートフォンに集中しています。それはこれが身近で便利であるからで、いつのまにかMP3プレーヤーなど携帯音楽プレーヤーもポケットゲーム機も手帳も時計もカメラもここに収まっています。この動きは今後も加速し、短い間にクレジットカード、交通系電子マネー、現金、ID(身分証明書)、家の鍵、ATMカード、本や雑誌などもどんどん普通にスマートフォンで扱うようになってきそうです。
スマートフォンに集中する一方で別のデバイスもたくさん開発されていて、AppleWatchに代表されるスマートウォッチもつける人が多くなってきました。これはBluetoothによりスマートフォンと連動してデータの保存などを行うことでより機能を拡充させます。自分もスマートウォッチをずっと使っていますが、いつのまにかその日の歩数を見たり、心拍数や運動量、睡眠の量と質などを定期的にモニターしており、最近は自分の体調をこの数字を見て判断するようになりました。
この分野はヘルスケアで大きな可能性があり、特別なセンサーを付けることにより、血圧、血糖値、血液中の酸素量、体温、発汗の具合などがモニターできると病気の事前予測などが高い精度でできるようになります。
また最近ではBrainTechの分野で人間の脳の活動をモニターしてフィードバックしながらパフォーマンスのコントロールをするデバイスもでてきています。これは精神疾患などの医療目的のことだけでなく、アスリートの集中力アップによるパフォーマンスの向上など実用的な分野で開発が進んでいくと思います。
これらはまだデバイスが普及していないため多くのデータを集められませんが、もし普及して多くの人のデータが集まってくると病気の予知や予防に大変役立つことが想像されます。
<第三章 人材と教育>
ITやAI、さらにはハードウエアをともなうRPA(Robotics Process Automation)の普及により世の中の生活や仕事の内容が変わってきます。そうなると働く人に求められる求人像も変化し始め、そのスキルシフトに乗り遅れると大変なことになるでしょう。
現在でもシニア層ではITについていくのが大変でなかなか苦労されている方々をよく見かけます。しかしこれは今後もどんどん変化する環境の中対応していく以外に方法はありません。その変化が激しいければ激しいほど、新しい業界や世代には新しいチャンスがあり、また古い産業やスキルには脅威となります。
仮に今必要なスキルがあったとしても今後もそれがずっと使える保証はありません。そういう意味ではずっと学び続けるスキルとモチベーションが大切になってきて、それに対して時間と労力を投資する人がサバイブできる世界になっていくことが予想されます。なんとも忙しい世界になることは考えるだけで疲れてしまいそうですが、e-laerningなどのサービスやツールが増えることにより無理のない形で何かを学べる社会にはシフトしていくことが想像されます。
人材面ではグローバリゼーションの流れがあり、相対的に安く良質な労働力を国境を越えて求め合う状況は変わりません。島国で難解な言語を持つ日本は、この点では最も多様性がすすんでいない国ですが、不足する労働力を海外から確保するために規制面での緩和をすすめるという制度上の問題と、職場での上手な受け入れをして活用するという両面において今年は大きなチャレンジとなると思います。ダイバーシティという言葉が先行し過ぎていて実態がなかなかついてこないというのが実感ですが、そろそろ他の文化にも慣れて異質なものも広い心で受け入れるという時期に来ていると思います。
企業側の採用意欲については昨年同様依然に強いものがあり、有効求人倍率の高さを見るまでもなく需給はタイトのままで企業側は思うように質も量も採用できていない状況が続いています。中途の転職市場においてはいわゆるオールドエコノミーからニューエコノミーに転職する若手の人材が目立ちます。産業全体がITのプラットフォームに移行する中、新規事業の創造へのチャレンジを求めている流れが強くなっています。オールドエコノミー側は充実した福利厚生制度を武器に人材の確保をPRし、ニューエコノミーは新しい挑戦への機会を強調する、それらの人材獲得の競争がみられます。
求められる求人像について特に多くの変化は見られませんが、どの産業でも事業家タイプの求人が強くなっています。いわゆるゼロイチの事業創造家を求めるのは産業構造全体のことを考えて当然のことですが、それに経験が伴う人をより即戦力として欲するケースが増えています。過去に起業したけどいったんやめた人など、経験者は最優先の求人として出てきており、彼らの賃金は年々アップしています。
労働需給のタイトな状況により、今年はこれまでと異なった状況が3つほど現れると思います。第一番目には経験者や高いスキルを持つ人材の給与が上がることです。すでに外資系などでは若い世代でも年収が1000万円を超すのに数年しかかからないという状況が多々見られるようになってきましたが、今年はこれが加速すると思います。その受け入れ先の多くは外資系もしくは利益率の高いベンチャー系で、これが候補者側には好意的に映ってみえるでしょう。
二番目の特徴は都市部の労働力が足りなくなる分、地方もしくは海外への求人とアウトソーシングが増えると思います。アウトソーシング先はITではベトナムなどに多く仕事が流れるようになってきており2国の橋渡しをするリエゾンマネージャーの立場で働ける人材は重宝されていきます。
三番目は転職がこれまで以上に盛んになると思います。多くの魅力的なポジションがネットで簡単に探せるようになり、また一つの会社で働き続けるという終身雇用の神話が完全にくずれて人々が躊躇なく転職活動を行うようになってくると思います。エージェントの活動も盛んになりますが、全体的に有望な候補者をとりあうという点ではマーケットの拡大は求人ニーズほどには大きくならないと想像されます。
<第四章 まとめ>
ここまでいろいろな観点から今年以降起こりそうなことを”雑感”として書いてみました。最後になりますがあったら嫌だな、あったら影響が大きいなということと、あったらいいなということをまとめて締めくくろうと思います。
◆あってほしくないこと、あったら困ること
中国のバブルの崩壊
中国の東シナ海、南シナ海での紛争
北朝鮮の核開発とそれによる紛争(ミサイル発射)
中東の混乱(サウジアラビア、もしくは北アフリカあたりでのクーデターやテロ)
規模の大きいテロ
地震や津波などの大きな自然災害
EU内での分裂と混乱
トランプ政権が泥沼化による政治の機能不全
◆あってほしいこと
乳幼児を持つ家庭のサポートの充実
基礎教育の無償化
創造性、個性、ITなどの新しい教育制度の充実
働き方の多様性の普及
外国人の流出入の活性化、また海外人材の受け入れ拡大
起業家文化の浸透
シニアの生きがいの充実と生活上の選択肢の拡大
地球温暖化に対する世界各国でのコンセンサス
貧困の撲滅
様々な不平等の解消
・・・
(無限になるので、このあたりで)
。。。(2018/1/13)