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上手なプレゼンはどうやってやるのですか?

<プレゼンの方法>
 
「上手なプレゼンはどうやってやるのですか?」

時々聞かれるので少しだけまとめました。
 

基本的にそれほど嫌いなことでも苦手なことでもないので、特に最近は強く意識していませんが心掛けていること、練習したことなど参考になれば幸いです。
現在でも毎年200回くらい授業や講演、セミナーなどで数時間単位で話しており、近年は海外の大学・大学院や講演で話す機会が増えています。


最初に少し自分のプレゼン史における失敗や学習についてお話します。

子供のころから人前で話すことには全く問題なかったものの、自分の話がまとまっていないと最初に気づいたのは中学校の1年の授業中になります。
国語の授業で担任の先生にあてられたか自分で手を挙げたかは忘れましたが、みんなの前で話をしました。何かを質問されてその理由を答えていましたが、どうも説明がまとまらず循環していて何度も同じことばかり繰り返しているのに気づきました。
「***はなぜですか?」という先生の問いに対し、「これはこういう現象でこうでこうで、、、」といろいろ説明していましたが筋がたっていなかったので話が長くなっていました。
ここはシンプルに「***は***だからです。なぜならば***」と言えばよかったシーンだったと記憶しています。

2度目のプレゼン失敗は外資コンサルティング時代にクライアントと定期ミーティングの自分のパートで同様に話が長くなりました。
このころはロジカルにはメッセージはシンプルにまとまっていましたが、分量が多すぎたり前後で話題が行き来したりと聞き手にとっては内容の難しさも加わり理解しにくかったのではないかと思います。実際に聞いている方は、非常にまじめに資料のあちこちを探しながら聞いてくださった広い心の大手企業のお偉いさんでした。
若い戦略コンサルタントにありがちですが、頑張りすぎから内容を盛り込みすぎて消化不良の結果になってしまいました。

とはいえ苦手意識も大きな失敗経験もないまま過ごし、その後アメリカでマネージャーをやっていました。
ここは研修プロラムだったので毎日のように朝から晩まで代わる代わる自分や部下や外部の専門家が教室に来てプレゼンをするのですが、ある時自分の部下のプレゼンが下手過ぎてブーイングが起こりました。
そこは日本と異なり生徒の側も不満を大あらわにして”親指を下に下げる”行為にでる者が多数続出。結局そのパートは自分が即興で補足し、後日補習する形でなんとかなったものの、プレゼンの出来不出来でこれほどまでにチームや参加者の反応が違うことにある種の怖さを感じました。

このコースの最終日にはマネージャーとして自分が総括みたいなプレゼンをしないといけないのですが、さすがに部下の失敗を繰り返すわけにはいかず、またその分は取り返すぐらいの満足度を得ないといけないという義務感もあり、前日夜中に一人教室で2,3回リハーサルしました。
このリハーサルの目的は当時あまり英語が得意でなかったので、その練習のためという要素もありました。そこで夜中の2時くらいに教室でプレゼン練習していたらからだの大きな警備員のおじさんが回ってきました。

「(警備員)何やってんだ?」
「(織田)明日のプレゼンの練習、、、」
「(警備員)日本人は仕事熱心だなぁ」
「(織田)ありがとう」
「(警備員)ここに座ってちょっと聞こうか?」
「(織田)さんくすぅううう!」

で、ちょっとだけ聞いてもらったら。

「(警備員)悪くないじゃん!(パチパチ&ハイタッチ!)、明日がんばれよ!」


* 以上の会話はアメリカ国内なので全部英語

翌日は練習通りまずまずのプレゼンを実行。この日は念入りにホワイトボードに事前に全部まとまったメッセージと図をあらかじめ用意しておく周到さで問題なく終わりました。(英語が得意でないのでホワイトボードに完璧に事前にまとめた)
この時実体験ではじめてプレゼンも練習や準備が必要であることを実感。以来いくつかの原則を自分なりに踏まえて行うようになりました。

以下プレゼンのヒントをまとめました。

1)内容を吟味する
全体と部分をしっかり構成する
シンプルなメッセージ、シンプルな図で表現する
話す分量は多すぎても消化不良になるので注意する
(細かい文字や文章の押しつけは不快感も伴う)
一般論の後には必ず具体例で説明する
話には強弱をつける
大事なメッセージが何であるか終始心にとめて、休憩前や終了前にまとめで確認する


2)つかみ(導入)に工夫する
最初のアイスブレイクの入り方が大切。最初の数分で聞き手の印象はきまる
導入部で必要なのは、自己紹介と自身の魅力付け、テーマの重要性の理解、聴衆との距離を縮めること
聴衆に興味を持ってもらうため、最初に持ってくる問題提起やエピソードは工夫する
全体の構成を最初に説明し話の道筋を見せる


3)声をよくする
心地よい声という「質」にこだわる。声の質で聞き手の印象はだいぶ変わるため(カラオケ歌うときのみたいに)
意識して注意するのは、「大きさ」、「高さ」、「速度」
マイクを通す時と通さない時では発する声の質をかえる
どちらも聞き手が最も心地よくなる音になるように
講演の前には喉を大切にする。たくさん話し過ぎるとしゃがれ声になりがち
特に前日にホテルに泊まる時には室内の”湿度”に注意し必ず加湿器をつけて寝る(特に北海道など寒い地域)
話す速度とその変化、ならびに間合いをうまく使い聞き手の注意をコントロールする。
同じペースは一定時間がすぎると誰でも飽きる。飽きてきたときには話題を変えたり、固い話題から少し柔らかい話に変えるなどの変化を入れる
間合いは大切な話に入る前にひと呼吸置いたり、感情をこめて話すときにしっかり気持ちを入れてから話すなど、聴衆にその部分の重要性や自身の思いなどを伝える役割がある


4)聴衆を徹底的に観察する
彼らが何に反応するか、どんな話題に興味を持つか、理解する力はどれぐらいあるか、展開は速すぎてついてこれないか、またはゆっくり過ぎて飽きていないか、など反応を見ながら調整する
聴衆とトーンを合わせる。いったん波長があえばあとは非常にやりやすくなる
聞いている人のニーズに合わせたテーマを話ながら探り、それを中心に話を展開する
聴衆の割と端の席に座る数名を”定点観測”し、定期的に視線を巡回しながら彼らの反応をみる
後ろの聴衆の表情がちゃんと見えるようにするためにコンタクトレンズを入れる


5)身体の位置と使い方に気を付ける
基本的に聴衆に正対しお尻をむけない
自分の立つ位置はスクリーンの横の聴衆から良く見える位置で、スクリーンを指さすときには聞き手に対して45度になるように
腕の動きはとても大きなメッセージになるので工夫する
じっとしているよりは自然にスクリーンや聴衆の方向に動いたほうがよい
(実際万歩計で測ると2時間で数百歩、歩いている)
背筋を伸ばし姿勢をよくする。猫背なのはネガティブな印象を与える


6)表情を明るく
話す前に楽しいことや、過去のプレゼンでうまくいったシーンを思い出す
これから話す目の前の聞き手が、自分の話を聞くことによりよりすばらしい人生に変わっていくことを期待する
自分でも楽しむようにする
印象の良い表情を作る方法のひとつは、プレゼンの前に「赤ちゃんの笑顔」の写真集を見ること(Googleに探してもらおう)
自分の視点の範囲に気を付ける。当然、全部をカバーすべきであるが前後左右の移動速度に注意
(速すぎず、遅すぎず)


7)その他
質疑応答の時には聞いている人のところに近づき真正面を向いて目を見てしっかり聞く
質問した相手の名前が分るなら、その人の名前を回答の中にいれる
「**さんのこの疑問は、、、、」
質問には完璧にこたえる
自分の個性を上手に生かすようにする
原稿は原則見ない。見るべき視線の先は聴衆
時計を必ず見えるところに置き時間配分ができるように
終了は時間厳守。セッションが長い時には90分以内にトイレ休憩を入れて聞き手の集中力が続くようにする
ユーモアという武器を持つ。質疑応答などでは真面目に答える前に、ちょっとしたユーモアやジョークで和ませると回答を待つ人の期待値が高まる
ユーモアを作り出すのは、日頃の教養、用意周到の準備と遊び心(これは難しい)


最後に、上記の要素を理解した後に必要なのは練習です。そのためには客観的に自分のプレゼンを評価する必要があり、ビデオで撮ったり、場合によってはコーチを付けることが効果的です。
コーチは、自分では気づかない癖を指摘してくれますし経験がある人はある程度一般的に陥りがちな欠点を発見することが早いです。
特に意識していないけど、話の中に頻繁にでてくる言葉として、「やっぱり」、「えー」、「つまり」、「なぜならば」など一定の傾向があり、どのワードが出てくるかによっても聞き手の印象は変わります。

あとは本番の場数をこなしていると度胸も尽くし、自分のパターンもできてくるので練習以上に機会を求めてプレゼンの数をこなすことが上達の最短距離だと思いますので、どんどんトライしみてください!

Good luck!