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教育のオンライン化への移行

コロナによる自粛活動によりオンラインでの授業や講義が増えました。自分は講義では話すほうの立場ですが、正直最初は結構たいへんで(笑)、顔が見えない生徒や参加者に対して自分のモチベーションを保つのがかなり難しかったです。
 
しかしツールを選び参加者に顔を見せてもらい、また運営面で双方向にやり取りをする機会を増やすことで、最近はストレスなく毎日配信しています。
この生活をしていると教育という面で極めて大きな変化があることが実感できます。今回はそのことについて私見をまとめてみたいと思います。

(インド理科大学院でのオンライン講座のスクリーンショット

画像に含まれている可能性があるもの:織田 一彰、画面

 
<Index>
1)教育のオンライン化について
2)教える側の工夫
3)教わる側の工夫
4)運営方法の工夫
5)その他
 
1)教育のオンライン化について
これは非常に大きなシステムの変化だと思います。ただし全ての教育がオンライン化するとも思えません。また、人間による温かみを感じる教育はオンラインでも実現可能で今回も直接は会っていなくても普通に1対1で会話したりすることはやはり大切です。
 
教育のオンライン化で大きく変わるのは以下の点です。
・優秀な講師が非常に多くの聴講者に語ることができる(講師が選別され少ない人数でよくなる)
・オンライン化することで場所の制約がなくなる
・さらにオンデマンド化することで時間の制約もなくなる
・生徒のモチベーションの差が習熟の差になる
・講師側も生徒側もオンラインでの新しいリテラシーが必要になる
 
受験予備校の世界では東進スクールなど、オンラインで名物講師を使い全国配信していましたが、これがもっと広範囲で行われるようになります。実際に私もオンラインでサンデル教授の講義を受けることができますし、日本の大学もオンラインのコンテンツを充実させて学校のブランディングと知識の共有に努めようとしています。
 
これが普及してくると学校の役割も変わってきます。そもそも教室という”箱”がいらなくなるので先生が学校ごとにいる必要はなくなります。受験予備校のように所属する学校と無関係に希望者が受講すればよいわけです。
これが意味することは必要な先生の数が減るということ、また良い先生しか残らないということです。受験予備校ではすでにこの現象は見られ人気のある林修先生は多くの人気を集めて予備校側も大金で彼を雇いますが、その他の先生の出番はその分少なくなります。
 
だからといって林先生が全てを教えられるわけではありません。知識を与えるところはオンラインで可能ですが、そもそも理解する速度やペースが人によって異なりますし、一方向では生徒とは関係なく授業が進みますのでフォローなどは当然必要です。
 
さらにオフラインの学校にもいろんな必要な機能はたくさんあり、一定の場所にちゃんと来て勉強する、というペースメイキングの機能や、仲間とモチベーションを上げあったり、分からないところを先生に聞いたり、もちろん社会生活について学ぶという大きな目的はオンラインだけでは到底カバーできません。
 
そのように考えてみると意外とオンラインの教育でカバーできる範囲は狭く、モチベーションが高く一人でも学習できる場合にはネットにさえつながっていれば原理上地球のどこからでも受講でき知識を高めたり新しいインスピレーションを受けたり直ぐことができますが、一般にはそのようなことは部分的になります。
 
 
2)教える側の工夫
こちらはまだ自分も試行錯誤中ですが、いくつかの点が分かってきました。まだ検証中ですので、ご意見がある方は是非ご遠慮なくいただけると大変ありがたいです。
 
・自分の顔はなるべく長い時間映しておいたほうが良い
・最初のアイスブレイクなどが大切でフレンドリーな雰囲気をつくると生徒や受講者との距離が近くなる
・表情が見えない分不安も大きいので丁寧にやさしく語ることが大切
・しっかり言葉を発生することが大切。特に英語の場合ナマリがあったり聞く人が苦手だったりするので、ゆっくり、しっかりが大切
・PPTなどの図は上手に利用する
・zoomやMS Teamsなどのツールにしっかり慣れて使いこなす
・質疑応答の時間をたくさん取り、なるべく最初から質問させるようにする
・参加者の顔もビデオで映してもらうようにお願いすると反応がよくわかり話の調整がしやすい
・大きなディスプレーを用意しなるべく多くの参加者の表情が見えるようにする
・自分の顔に専用のライトで明るくすると顔色が良く見える
・自宅から配信する場合は背景に注意する。zoomだと仮想背景が自分で設定できるので良さそうな写真などを用意する
・解説中も定期的に質問を受け付けて双方向に進み参加者のコミットを多く感じるようにすすめる
 
 
実は私は大学院時代に予備校講師の経験があり、学生のアンケートだけで時給が決まる世界で働いていましたが、今年になりオンラインで講義を行うようになってから同じような厳しさに直面していることを感じます。
予備校などではもちろん教え方や先生独特の解き方みたいなものがあると差別化できますが、そのようなものはそれほど多く存在しません。そうなると話し方とか、ポイントの強調の仕方や俗人的な講師の面白さといったものが必要になり、それらがなく普通にたんたんと話しているだけでは生徒からそっぽむかれて他の先生のところに行ってしまいます。
 
これまで大学の先生は研究をしていれば教育面の分野ではそれほど気にしていなかった方もいるかもしれませんんが、これからはそういう先生は淘汰されやがていなくなる時代も来るかもしれません。
 
 
3)教わる側の工夫
 
教わる側は教える側ほど競争原理は働きません。しかし教える側から評価を受ける場合には、しっかりした態度で臨まないと、ほとんど
空気のような存在になり、実際の教室の時以上に印象のないまま悪い成績を付けられるということが起こりえます。
 
それを避けるには以下の方法が良いように思えます。
・ビデオをオンにして自分の名前を”漢字”で表示するようにする *漢字にする理由は一目見て読みやすく覚えやすいから
・肘をつかない、あくびをしない、寝ない。 *講義をするほうからは結構見えます
・よくわかった時にはうなずくなど、少し極端に動く
・普通の講義と同様にノートとペンは用意する *しっかりノートを取っている人は講師には分かる
・なるべく質問するにする
 
聞く側の集中力を保つのは簡単ではないと思います。私も聴講者としてネット上の様々なwebinarに参加しますが、ちゃんと正座して聞くくらいにしないと、すぐ違うことを考えるようになってしまうので注意しています。
 
 
4)運営方法の工夫
 
講師とは別の人が一人以上いたほうが講師がより話に集中できるので良いです。
・講演者と運営者は分けたほうがよい(使い方の問い合わせ、途中入退出の管理など)
・ツールについては目的に合ったものを選ぶ
・事後にアンケートなどしっかりとる設計にするとフィードバックがあり良い
・可能なら事前に参加者に実名の表示、ビデオをオンにすることなどをお願いする
・質問事項は専用アプリなどで集めれるようにすると良い
 
タイムキーピングも運営側の仕事の一つです。どうしても講師だけだと時間が延びがちなので別の立場から全体を見る人はやはりいたほうが良いと思います。
 
 
5)その他
 
講義などがオンラインになることで、これまであまり見えにくかった才能が一つ明らかになります。
それは『好奇心の強さ』です。
 
前向きな態度がなくともオフラインの教室では、人数も少ないし直接見えるのでそれなりにお互いに相手にしてもらっていましたが、オンラインで不特定多数の世界になると、自分から質問していくとか、テーマをもって話を聞くとか、態度の面での差が大変大きな差となって現れてきます。
 
こういう今まで隠れがちだった才能が見えるというのはオンライン教育のよい所で、またオフラインと異なり場所代もかからず、どこにいても受講できるというのは、さらにボーダーレスが進行することも意味します。そういう点では英語はより大切になり、トップクラスの情報はほぼ間違いなく英語になっていきます。
 
この新しいシステムに対してどのように適応していくかは、これからの生き方に大きな影響があると思います。
 
 
以上オンラインでの今後の教育についてまとめました。まだ試行錯誤の途中でもありますので随時アップデートしていこうと思います。