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「論理(ロジック)」について学びなおす~その5(数字編)「PCR陽性はどれくらい危ない?」

 
前回の記事で「数字を使って実態を正しく把握する」ということをお話しました。
 
「論理(ロジック)」について学びなおす~その4「数字を考えている?」~
 
今回はそれを象徴するような事件(「コロナ偽陽性」)が実際に起こったので、それを例として数字を用いた実態把握について考えたいと思います。
 
報道によると、元オリンピック体操選手がPCR検査で一旦は陽性が出ましたが、何度か再検査した結果実は陰性であることが判明しました。(「偽陽性」というらしいです。)
ここではそのニュースやPCR、コロナ対策の是非についてではなく、純粋に数学的にどれくらいの確率でそういうことが生まれるかを計算し、我々が持っている危険のイメージと実体の違いを検証します。
 
 
PCR検査の結果は陽性だった!」
 
以下のように数字をおいて計算します。
*実際の数字とは異なる可能性がありますが”仮で”おいています。
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(以下計算のための仮定)
このPCR検査は”本物の”コロナ患者が受けると99%の割合で陽性が出るが1%は陰性(「偽陰性」という)になる。一方患者でない人が受けても10%陽性が出て(「偽陽性」という)、90%は陰性となる。*実際確実に検出しようとするとそうなるらしい。
さてコロナの患者の割合は全人口の0.1%と分かっているとすると、陽性と判断された人が本当にコロナにかかっている確率はいくらか?
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これは「条件付き確率」と呼ばれる種類の問題で大学入試の数学で出ます。数学の世界では「ベイズの定理」とよばれています。
 
「やばい!99%コロナに感染している!」
 
と思うかもしれませんが検証してみましょう。
 
感染している人(0.1%)・・・ 陽性が出る(99%)/陽性が出ない(1%)
感染していない人(99.9%)・・・陽性が出る(10%)/陽性が出ない(90%)
 
まとめると4つのパターンがあるので番号を付けます。
 
(1)感染していて陽性が出る
(2)感染しているが陽性が出ない
(3)感染していないが陽性が出る
(4)感染していないで陽性が出ない
 
今回は検査の結果陽性が出ているので、上のパターンの(1)か(3)のどちらかということになります。
 
本当に感染している確率=(1)の確率/((1)の確率+(3)の確率)
=0.001*0.99/(0.001*0.99+0.999*0.1)≒0.00981267≒約1%となります。
(*この部分が「条件付確率」の計算でベイズの定理そのもの)
 
約1%!!!
 
もしかすると想像よりずいぶん小さくないですか?
 
それでもかかったら危ないから、というのは別の話です。これはまったく論理的ではありません。
今回の試算は実際に起こる確率を計算することで地域や国全体でどれくらいの患者がいるかの実態を求め、自治体や病院などの対応を考えるときに役立ちます。
 
一つこの数字から導かれる結論としては、もし上記の仮定の数字をそのまま使うなら
 
「陽性反応が出た人も約99%は実はコロナにかかっていない!」
 
ということが分かります。こう見ると実は試算結果はショッキングなのではないでしょうか?
(*しつこいですが仮定の数字の検証はここではしていないです)
 
こうみると数字で物事を見てみることの大切さがわかると思います。
普段ニュースなどでは「ある、なし」だけの報道も多いと思いますが、実態を見るときには範囲や程度などの数量も大切になることを覚えておいてください。