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複雑化する世界と政治・経済についてーグローバリゼーションの今後は?米中は今後どうなる?資本主義のシステムは機能する?ー

『複雑化する世界と政治・経済についてーグローバリゼーションの今後は?米中は今後どうなる?資本主義のシステムは機能する?ー』


グローバル化が進み世界のいたるところで貿易や製造が盛んになり、物質的にはどんどん豊かになる一方で、政治的もしくは社会的な問題点も次々に明らかになっている。
グローバル社会での国政のかじ取りの難しさはどんどん深まるばかりで、多くの国が複雑に絡みあう中、政治家は最適な意思決定をいかにすべきか方法を模索している。
物が豊かな先進国においては、政権獲得のためには経済対策が重要になる。おもしろいことに先進国で豊になればなるほど物の豊かさに対する国民の要望が強くなり、経済政策の成否で選挙が決まる傾向が強い。
このような状況では国防などの利害などを忘れがちになり、いつの間にか経済を優先している間に国際社会の中での自分の位置づけが悪い方向に進んでいることもありうる。
例えば米中貿易戦争なども典型的な例だ。米中は国防上は非常に微妙な関係があるが、経済面で見れば双方とも完全にパートナーの関係である。例えばアメリカ人が毎日のように使うアップル製品は多くが中国で作られるし、反対にアメリカで作られる映画も最も多くの人に見られるのは中国であり、14億人というアメリカの3倍以上の人数を持つ市場規模は、もはやアメリカの経済にとっては不可欠なものになっている。
(添付図1)

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それに中国はアメリカの借金である米国債を日本に次ぐ第二位の保有国である。アメリカの金融バブルの結果の2008年リーマンショックで資金提供したのは貿易黒字を積み上げた中国と、中東のオイルマネーであったことは記憶に新しい。
(添付図2)

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したがってニュースで多く流れるように国防的には微妙な二国関係であるが、それをデカップリング(分離)することは双方にとってもはや不可能なレベルに来ている。
一方別の視点で世界を見て、先進国と途上国の関係でとらえると、先進国である欧米で資金を調達して、コストが安く経済発展中の途上国にインフラや工場を投資し生産して、その製品や稼ぎを還流させる動きが相変わらず盛んである。
現在の経済システムは資本主義が進んだおかげで、資金調達が多様化し比較的どこからでもお金が手に入るようになった。また技術の進歩により製品の製造効率も上がり世界で最も安く良いものができる場所を探して物を作っている。
先進国は日本を含め資金的には豊かなものの少子高齢化と成熟経済のせいで上昇余地が少なく需要不足を海外の途上国の潜在購買力に期待している。
一方途上国では資金不足でインフラ整備も必要な中、旺盛な潜在需要をバックに先進国から技術と資金の提供を受け、代わりに廉価な労働力と市場開放を行う。
この構造をもとにそれぞれの先進国と途上国が国防上の利害などを絡めて交渉を進めているのが現状である。
この政治と経済の枠組みをより複雑にするのが、宗教や民族、そして過去の侵略の歴史である。ある意味経済的な合理性は金銭的なモチベーションで測りやすくシンプルであるため、それだけを考えれば最適解は見出しやすい。(とは言っても格差の問題などは複雑な部分ももちろんある)
一方、領土や民族、宗教の問題はより複雑である。特に領土の問題は非常にセンシティブであり、過去に殺しあった事件は人々の記憶から消し去るのは容易ではないし、それが世界大戦などを引き起こした歴史を見れば慎重に取り組むべき問題であることは明らかだろう。
ここからは楽観的で創造の域は越えない理想論であるが、もし仮に経済的に社会が”全般的に”が豊かになれば地域紛争や宗教の争いなども減ると考えている。より具体的には域内経済格差が一定以下であり、かつ最も貧しい人でも一定の生活を保障されている状態が望ましい。
このような状況下では、人々はわざわざ武器を持って暴れる必要などは基本的にはないからである。
地域紛争などもよく状況を観察してみれば、背景に経済的な理由があることがわかる。例えば原油が出る中東では欧州の国が定めて国境が紛争の原因となっているが、それが小さな紛争で終わらないのは産業の米である原油が世界経済に与える影響が多いため、政治などを使って取り合いをしているという構図がある。
天然資源の取り合いはアフリカでも多発し、先進国の一部の企業なり団体が資金提供して利権を取るために現地の一部のリーダーと手を取り独占して自分たちの利権を確保する一方、現地の他の人々にその恩恵を還元しないために格差が拡大し暴動などを誘発している。このようなケースでは先進国の傀儡政権が豊富な資金やネットワークで国を牛耳り、愚民政策をほどこし反抗する知識(教育)と豊かさを提供しないことが頻繁にみられる。さらに悪いことには、この地域の紛争に大国が裏で武器や資金の提供をしてより紛争の長期化、複雑化をさせている事情もある。
政治面はさておき、富の配分という純粋経済学的に考えるのであれば、地域のどの範囲で問題を解決するかということは結局はどの範囲までの人をどの程度豊かにするかという点で問題の枠組みが決まってくる。
それが国内の一部の利害関係者だけのためになればなるほど、格差は大きくなり社会問題として大きくなり、問題解決から遠のいていくことは現在見ている通りだ。
範囲が広く複数の国が絡むようになれば、利害はより複雑化し解決策もコンセンサス形成に時間と手間が要する。範囲が広くなれば最大公約数が小さくなるのは数学でなくとも自明な事実である。
上記の話を統合的に考えてみるとグローバリゼーションの問題の本質の一つは経済的な富の配分とその中でのルールなり仕組みを考える組織の問題であると解釈できる。
世界全体の枠組み、もしくは多国籍の地域の中での協力は難しい部分であるが、個の利害だけを考えるのではなく、時には少し我慢して隣に協力することで自分が豊かになるというシンプルな原則で物事をとらえてみれば原理的には解決の方法に向かうのではないかと結論づけることができる。