Goodfind講師ブログ

次代を創るビジネスリーダーのためのキャリアサイトGoodfind

『中高年からの健康管理ーサイエンス・オタクの独り言』

『中高年からの健康管理ーサイエンス・オタクの独り言』

* エビデンスがある情報をもとに書いているつもりですが、専門外であることには変わりなく、本文の内容については専門家の意見を最優先し確認してください。
 
個人的な興味からサイエンスの様々な分野で時々オタクになり、世界の文献や論文の読み漁ることが今でも多々あります。その中の一つの分野が”医療”です。
 
私は自称ですがサイエンス・オタクです。かつで私の父は息子に医学部の進学をすすめましたが、本人は血を見ることが嫌いなのと病院が大の苦手なので理論物理を勉強するため理学部に行きました。
しかし薬学を専攻し大学院を出た後に医療メーカーの研究者となった父の影響は大きく、子供の時から家にあるドイツ語の本のベンゼン環の絵を意味も分からず真似て落書きしていた記憶があります。(結局有機化学は最も嫌いな理系の分野になった 涙)
そのような背景もあり医学に対してはそれなりに関心があり、最近は医療のスタートアップも活躍することなどもあり、にわかに自分の中の関心が高まっています。
 
同時に自分の体の加齢による変化を少なからず感じ、今まで通りには機能しない場面が多くなると、それの因果関係を調べ対策を講じることを考え始めました。
今回の記事はそれらの情報のまとめです。

ここでの私の主張は以下に集約されます。
 
「正しい医学の知識を得て加齢に応じて適した生活習慣を取り入れることで、健康な生活を送ることができる。」
 
当たり前すぎて、おもしろくない結論ですね(笑)。科学、サイエンスというのはこういう要素があることは認めざるを得ないかもしれませんが、もう少し具体的にみていきたいと思います。
 
ところで”正しい知識”とは具体的にどういうことでしょうか?もちろんすべての医学の知識を勉強するなど大変なことなのでそれは無理として、最低限の自分の健康に関する情報は持っておくべきです。
 
まず身の回りで散見される健康に悪いことのNo.1は食事の種類です。最近は多くの人がfacebookInstagramで食べているものを公開することが多くなり、誰がいつ(何時に)何を食べているかの情報が入るようになってきました。そう言っている自分のInstagramもジャンクフードが多く、人のことを言えるものではありませんが、、、
 
一度しらふの状態で飲み屋を見てみてください。夜の遅い時間に、脂っこいもの、塩辛いものをビールで流し込んで、更に何倍もおかわりしている姿があります。その方たちのウエストを見てみると失礼ながらあまりカッコよくない方が多いように思えます。

しかし一方で私の身近な知人たちに最近多いのは、ランチなどでもローカーボを実践しており、あきらかにご飯や炭水化物の摂取量を意図して減らしています。もちろんその方たちのお腹は上記の飲み屋の中年太りとはほど遠く、かつて太っていた方もずいぶんスリムになったケースも多々見受けられます。
(うちの社内の若者でも何名かは明らかに体型がスリムになっている)
 
ここでの問題は見た目ではなく、病気になるかどうか、という点です。たばこをすって大酒を飲みそれでも長生きする人がいるのは事実ですが、多くの場合医療関係者や介護業界の方以外はなかなか目につかないかもしれませんが、心筋梗塞脳卒中などの疾患を経験し不自由な生活を送っている人がたくさんいます。
また日本には糖尿病の患者が数百万いて、潜在層もいれると全人口の1割に達するのではと言われています。糖尿病は”サイレントキラー”の病気の一つで、日常生活では痛くもかゆくもありませんが、やがて全身のいろいろな気管をむしばみ、かなしい結末と結末までの辛い期間を生きることとなります。特に本人が辛いのは仕方がないことだと思うのですが、家族やそれを支える医療関係者や介護の方々、さらにはその財源を負担する若い世代にとっては他人事ではありません。
 
 
さて、一般に加齢により機能不全がでてくるのは以下の項目です。
 
(1)血液と血管の状態が悪くなる
血圧があがる、血糖値があがるなど、血液検査の数字で正常値から離れたものがでてくる。
脳や心臓の血管がつまりやすくなることで、脳梗塞、脳血栓くも膜下出血心筋梗塞狭心症などの可能性が高まります。基本的にここが悪くなると心臓や脳で病気になることがあります。軽いとところでは息が切れる、胸が痛いなどの自覚症状から始まることもあります。
 
(2)ホルモンバランスが崩れる(男女とも)
ホルモンバランスが40歳前後から崩れ始め「更年期障害」と呼ばれる症状がはじまります。より具体的には体温調整がむずかしくなる、怒りやすくまた落ち込みやすくなる、うつになる、病気になりやすくなる、など症状は様々です。
女性の方が閉経によるホルモン変化が大きいため症状は男性より大きく世の中での認知も大きいのですが、男性にも同様に更年期障害は存在し、身近なところでは中高年のうつ病など不定愁訴という形で出ることもあります。40代以降で会社に出てこれなくなった男性社員が一定以上いることは、大手企業であれば皆が知っている事実です。
 
(3)目が見にくくなる
近くが見えない老眼がすすむ、遠くも見えにくくなる、また白内障緑内障なども発症します。目の病気は不可逆なことが多いのでなるべくならない、もしくは軽い状態であることが望ましいです。
 
(4)聴力が悪くなる
特に高い周波数が聞こえにくくなる。いわゆる「耳が遠くなる」状態になります。私も実はそうですが、耳が悪くなると自分の声が大きくなります。自分があまり聞こえていないので、どうしても相手も聞こえないと思い声が大きくなるからです。
 
(5)ガンの発症率が上がる
免疫力が低下することでガンにかかる割合が高くなります。現在の日本では二人に一人がガンにかなる時代ですが、医療の発展により早期発見で治るケースが多くなってきました。
ガンの発症のメカニズムは現代ではかなり分かってきています。細胞は日常生活の中で常に細胞分裂して古い細胞と新しい細胞が入れ替わっていますが、そのコピーの段階で、”コピーミス”が起こります。これは若者にも日常的に起こっていますが、それを修正するシステムがミスコピーをなくすことで大事には至りません。しかし機能不全になるとコピーミスの細胞が残り増殖してがん細胞となるわけです。したがって対策は体力を正常に保つ、ということしかなく、そのためには良い食事をとり、十分な睡眠をとり、免疫力をたもつことです。
 
(6)膝や腰の関節が痛むようになる
どこの整形外科に行っても、老人が多いのは周知の事実です。膝が痛い、腰が痛い、は様々な原因がありますが、ひとつは細胞間の体液が減って骨と骨が狭くなり神経などを圧迫するためです。これの対策も体の状態をよくすること以外には方法は見つかりません。
 
(7)歯と歯茎が悪くなる
歯が悪くなり入れ歯にする人が出てきますが、もう一つ注目すべきものは歯槽膿漏です。近年の研究では細菌などが直接歯茎の隙間から血中に入る可能性も指摘されており、歯茎の健康に最近注目が集まり始めました。歯槽膿漏もその存在が軽視されている病気の一つで、多くの人がかかっているにもかかわらず無治療のまま放置されています。
 
(8)運動機能の低下
筋力の衰え、バランスが悪くなり転びやすくなる、反射神経が悪くなる。運動は軽くでもよいので続けるとよいです。神経は使っているとその機能を保とうとしますが、使わないと脳細胞が消失と共にどんどん忘れて行ってできなくなります。
この対策は、運動を定期的に行い、機能を保つこと以外にはありません。
 
(9)記憶力が悪くなる
個人差と程度の差が大きいのですが、高齢になるほど認知症がすすみます。認知症は高齢人口の増加に伴い非常に大きな問題になっていきます。これは”海馬”と呼ばれる脳内の部分の縮小によるとされていますが、海馬の縮小は短期記憶力の低下だけでなく、道や場所を覚えられなくなったり、感情を抑えることも苦手になり、これがシニアの頑固さとかキレる老人の増加の原因と言われています。
認知症の対策はいくつかあり、刺激を受けながら毎日使うこと、運動することなどがありますが、一番簡単なものの一つは、仕事をやめないこと、というふうに言われていますが、私もその考え方に100%同意です。
 
 
 
以上の症状は完全に解消することはできませんが、進行を遅らせたり程度を和らげることは十分に可能です。ただしそのためには、ちゃんと現状を自覚すること、正しい知識を理解すること、定期的に診断を受けること、適した生活習慣をおくることが必須です。
 
 
基本的な対策は、本当に当たり前すぎて面白くないのですが
 
「運動、食事、睡眠」
 
の3要素を原則通り正しくすることです。
 
◆運動
ランニングやウォーキングなどの有酸素運動が心臓や脳によいことは周知の事実ですが、筋トレと組み合わせることにより脳の活性化が起こることが最近分かってきました。
つまり一定以上の負荷のある運動をすると循環系や筋力の改善だけでなく、認知症などの対策にもなります。
最近ではiPhoneなどのスマホに標準的についている”万歩計”で一日の歩数を図ることが出来るので、これを見ながら一日1万歩を目標に少し歩いてみることが最も身近な方法かもしれません。
 
個人的に進めたいのは筋トレです。重めの重量のトレーニングをすることによりテストステロンをはじめ筋肉を同化(体内につくこと)が起こります。一般にある時点から加齢により年間数パーセントの筋肉が失われていきますが、それを緩和する自然で最も効率的なものが筋トレです。
 
これは若者にももちろん有効で、若ければ若いほどトレーニングの効果は目に見えるほど大きくなります。特に男性はきちんとすれば数か月で体形が変わってくるので、それがモチベーションになり更に続ける人もでてきます。
女性も一定効果はありますが男性ほど顕著ではありません。それと筋トレをすると筋肉質になりすぎて怖い、というように考える方も入らっしゃりますが、例外を除いてその懸念はないです。むしろそれをしないことによるマイナスのほうが大きく、例えば足を長く見せたいとか、ヒップを上げたいとか、姿勢をよくしたいときには体幹を意識した筋トレの効果は絶大です。
 
また男女ともに言えるのは、筋トレをしてテストステロンなどのホルモンが増加すると精神的に安定します。トレーニングの最中は興奮してテストステロンとコルチゾールという物質がたくさん出ますが、トレーニング後は平常状態に戻るときに以前よりも落ち着いた状態になりやすくなります。
運動した後すっきりした、またはよく眠れるということは、よく経験されているとおりです。
 
更年期障害の一つである「うつ病」も筋トレで改善する見込みがあります。なかなかそういう状態の時にジムに行って気合を入れるということは難しいかもしれませんが、私個人は負のサイクルに入りそうになったら一人でジムに行って「ウォー!」と言いながら重いバーベルやダンベルと格闘していると終わった後には平常状態に戻っています。
(*かなり個人差があると思いますが)
 
 
◆食事
 
「身体は食べたものからできている」
 
は真理です。
 
TVなどのCMでは「何かこれを食べれば大丈夫!」とか、「これさえすれば、あとは何をしてもよい!」に近いイメージやメッセージを見ますが、これは消費者の無知と怠惰を利用したコマーシャリズムにすぎません。生理学的に考えれば、人間の体は有機物質からなり、その化学反応により思考を含む全ての活動をうみだしているので、残念ながら王道はないと思います。
 
実は更に科学は以下の事実も暗示しています。
 
「我々の考えることも気分も食べたものから作られる」
 
例えば自分の例ですが、ローカーボで完全に糖分を抜いた場合、ものすごくモチベーションというかやる気がなくなります。何かをやるのが嫌だ、ではなく全てのものを行うことが億劫になるのですが、それは脳に糖分というエネルギーがないので当然のことです。
また多くの人が感じるようにたっぷり食べた食後には眠くなって難しいことを考えていたふと寝ていた、というのも化学反応です。これは一般の生活では笑い話ですむことが多いですが、一生を決めるテストや野原で野獣に襲われそうなときにそうなったなら最悪です。
 
例えば女性のPMSなどに見られる感情の変化も、月単位の女性ホルモンの分泌サイクルとセロトニンの量で説明できる部分がたくさんあります。
 
ストレスがどの程度あるか?ということも、唾液中に含まれるコルチゾール値の変化をトラッキングすることで程度が分ります。 
 
このように集中できる、やる気がある、というのも、どのホルモンなり神経伝達物質が分泌されるか、という点で科学は説明しています。
更に最近はfMRIという装置の出現で大脳の活動をリアルタイムで詳細に解析できるようになり、どういう時にどの部分が活動的になり、その結果人間の思考なり感情なりがどのようになっていくか、という研究が進んでいます。
 
この部分をまとめると、考える能力も食べる物や生活習慣で改善すると言いたいわけです。感情のアップダウンの激しい方は、なるべく血糖値の上下が少なくなるようにGI値(=血糖値の上がりやすさを表す数字)の低い炭水化物を取ることをおすすめします。
また食べる順番は、野菜、タンパク質、炭水化物の順に食べると血糖値が急に上がらないことから体に良いと言われています。
 
最後に忘れてならない必要な栄養素として”水”があります。ご存知の通り人間の体の2/3は水分から出てきており、これが不足すると脳梗塞などの病気が発生しやすくなります。最近では大きな1リットルくらいのミネラルウォーターのペットボトルを持って歩き、一日でしっかり目標量の水分をとる方もちらほら見受けられますが悪くないと個人的に思います。私は水分量の過不足をトイレでのおしっこの色で判断しています。これはアスリートが脱水症状気味になっていないかを色ではんだんするところから来ています。もしも尿の黄色が濃い場合にはしっかり水分を補給しましょう。
 
食事に関してはコマーシャリズムにより、とても誘惑が多いことが、ダイエットコントロールをしにくい原因となっています。
しかし健康診断の結果を見れば、自分の体が”錆びて行っている”ことは明らかであり、それに対して薬だけの対処療法しかしないことは問題を根本から解決したことになりません。
 
 
 
◆睡眠
 
睡眠は回復のためにとても大切な行為です。しかし若い時には当たり前にとれていた質の良い睡眠が、加齢とともに難しくなってきます。男性では夜中にトイレに起きる頻尿に悩まされる人もいます。
睡眠はもしも不便を感じていなければ神経質になる必要はありませんが、もしも不十分に感じているのであれば以下の方法が一般的には有効です。
 
・寝る時刻を一定にして習慣的に眠くなるようにする
・日中太陽になるべくあたる
・睡眠不足の日は昼休みに20分程度の仮眠をとる
・夕方以降はカフェインをとらない
・枕にこだわる
 
 
このあたりは、私の知人の小林 孝徳さんが株式会社ニューロスペースという会社でサービスを提供していますので、こちらも参考にしてください。
https://neurospace.jp/
 
 
 
最後に対策の一つとしてデジタルデバイスとアプリの力を借りること提案したいです。
病院での定期健康診断を毎年、または半年に一度受けるのは必ずやるとして、もう少し日常でも行動を意識しフィードバックを受けるために、AppleWatch、もしくはFitBitのような腕時計型のデバイスで、脈拍数、睡眠の長さと質、毎日の歩いた距離/歩数、運動の記録、などがあるとどういう生活をしているか意識が出来るとともに、その結果から生活へのフィードバックができるようになると思います。
 
私は現在FitBitを使っておりますが、以下の情報を取ることが出来ます。
 
・歩いた距離/歩数/消費カロリー
・運動の結果(ランニングやウォーキングの時間など)
・睡眠時間と睡眠の質(浅い眠り/深い眠り)
・心拍数(安定時脈拍数を含む)
 
ここで私が注意深く見ているのは、睡眠時間と安定時脈拍数です。
自分の場合睡眠時間はどうしても心掛けないと4時間くらいに短くなってしまう傾向があるので、そうならないように6時間とるよう目安にしています。(達成率は半分くらいですが。。。)
 
また”安定時脈拍数”は、自分の健康状態を表しています。この数字は、病気になった、なりそうな時には通常より高くなります。私の場合は健康な時には1分間に56-58回くらい心臓が鼓動を打ちますが、風邪をひいたり、疲れがたまった時には60回を超えます。不調の時でも興奮状態にあるような場合は全くそれには気が付かないことが多いのですが、FitBitは「今は疲れているから、早く帰って寝ろ!」という警告を発してくれるので客観性もありたいへん便利です。ですので最近は病気になる前に休むことにしているので、外に出ていけないほどひどくなることがほぼなくなっています。
(*以前からあまりない、とは言われていますが)

以下の図の左がコンディションが悪い状態で右が通常状態。明らかに違うでしょう?

f:id:goodfind:20190402232356j:plain



 
こういう日常での毎日の生活や状態をフィードバックするものがでてくると、少なくとも情報リテラシーが高く目的意識がある人にはよいツールになると思います。

最後になりますが、糖尿病や高血圧、脂質代謝異常(高脂血症)などのサイレントキラー系の病気だけでなく、徐々に進行する病気は日常生活でなんとかしないと元に戻れなくなります。もしもそれらに真剣に取り組もうとする場合に、この記事がお役に立てば幸いです。

「独り言」おわり。。。