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起業家になるにはコンサルが近道か?

世の中でよく聞く話。。。


起業家になるにはコンサルに行くのが必須
起業家になるにはベンチャーに行くのがよい
起業家になるには営業力が絶対必要
起業家になるためには大手企業に行って修行する
・・・


本当のところはどうなんでしょうかね?

私は、自身で統計的にちゃんと調べたことがないので断言できませんが、ある時期のある企業出身者に起業経験者が一定数いるのは周囲を見ればわかります。
例えば私が在籍した90年代のアクセンチュア出身者や同時代のリクルートの出身者で起業した人は多いです。ですが、それは辞めている母数が圧倒的に多いという事実を考慮する必要があり、そのキャリアが起業の成功に役立っているかはもう少し慎重な判断が必要です。

日本の起業家について多数と会っているキープレーヤーズの高野さんは以下のような興味深い調査をしています。(N=310)


あの上場社長が新卒入社した会社を徹底調査(過去5年)
https://keyplayers.jp/archives/29111/
(キープレイヤーズ高野さんのサイトより)


上場時社長のファーストキャリア(N=310)

(1)職歴なし 13名
(2)アクセンチュア 8名
(3)リクルート 7名
(4)NEC 4名
(5)以下各社3名
ゴールドマンサックス
コスモスイニシアティブ
ジャフコグループ 
三菱UFJ銀行
住友商事
博報堂
日本IBM
日本オラクル
NTT


なんと起業することの最もスタンダードな道は就職しないことなんですね!


これを見ると1-3位は他より少し多いですが、それ以下は大した差がないことが分かります。

コンサル会社については、毎年数百人やめていれば、起業する人も絶対数で一定いるのは当然です。それと90年代に在籍した経験からわかるのですが、当時のアクセンチュアはとても人気企業とは言えず、どちらかというと周囲と異なる道を選んだ変人たちが来る会社でした(笑)。

アクセンチュア93年入社の同期約130名のうち起業して、上場したり事業売却した人は知っている範囲で自分を入れて6名ほどいますが、みんなサラリーマンというよりは個性的なツワモノ達ばかりです。


リクルート社も人材の出入りの多い会社で、リクルート事件という逆境を経験したベテランたちは、それはそれでこちらもツワモノぞろいです。
特に営業の突破力は当時最強で、私も起業した後は彼らの営業手法を学んで実践していました。


このように見てみると実は特定の企業に行くと起業家として特に有利になるということは、少なくともこの結果からは強い傾向が見えません。

あともう一点強調しておきたいのはアクセンチュアなりリクルートなりの出身者が起業家になっている事実は上記の通りですが、どの時代にその企業に属していたかという情報も大切です。
90年代のアクセンチュアは私のように型にはまらない人間が多かったため、離職後起業という選択肢を選ぶ人が多かったです。最近では大量採用も定着し、もっとバランスが良い優等生が多くなってきたように見えますので、以前と同じように起業する人が出てくるか言うとそれも違うかなと思います。

一方で最近はサイバーエージェント楽天などの2000年以降のベンチャーに早期からジョインした方たちの起業も目立ちます。このように時代によって企業の姿も出身者の特徴も変わってくるので時系列でみた起業家出身リストなども見てみるともう少し特徴が分かるように思えます。


統計的な調査はしておりませんが、私の周囲のサンプル(N=200-300)を見ると起業について以下の特徴があると認識しております。

・急成長するフェーズにその組織に所属していた人は起業して成功しやすい
・所属する会社というより、どの部署(場所)にいたかということが起業に影響がある
・社長相手に営業していた人は起業しやすい
・親や家が自営業の子供は起業しやすい
・外部環境が変化する環境にいた人は、新しい事業に適応しやすい
・出張が多い人は起業しやすい
・強烈な起業家のそばにいた人は起業しやすい
・VC(投資側)にいた人はほぼベンチャーの世界にいる
・40歳くらいまでにベンチャーに行かないと、怖くてそのあと行けないようになる
・学歴や経歴がきれいすぎる人は発足時のプレスリリースだけで終わることが多い
・ネットワークを持っている人は起業して成功する確率が高い
・ある時代の特定の集団からたくさん起業家が生まれる傾向がある
(ペイパルマフィアみたいな集団)
・起業する時期によって成功する確率が変わる
・尖った人のほうが起業では成功確率が高い
・起業については起業してから学ぶことが多く、準備することは難しい
・銀行やコンサル出身者はバブル時にスタートアップに来るが崩壊時に退出する
・スタートアップといえど創業者以外はサラリーマンの要素が強い


さて、いかがでしたか?

今回、日本国内における出身企業と起業との関係を考察しましたが、そもそも起業家の数があまり多くないので統計的に判断しにくいですね。


今回の結論としては、


「起業したいのであれば会社に行く必要はない!」


という極めて普通の結論でした。