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あなたの話は分かりやすいか?ーロジカルなコミュニケーションとは?-

<ある会話>
 
A:今近くにいるんですが、お店の場所教えてもらえますか?
B:XYZ地下街です。
A:今XYZ地下街にいて迷っているんですが?
B:どのあたりに居ますか?
A:マクドナルドの前にいます。
B:そこからすぐですよ!
A:マクドナルドからどういけばよいですか?
B:そこから真っすぐです。
A:どちらのほうにいけば良いですか?
B:**駅の方面です。
A:どれくらい歩きますか?
B:5件隣りくらいにあります。
A:ありがとうございました。
B:どういたしまして。
 
 
<同じ内容の効率的な会話>
 
A:そちらのお店の場所を教えてください。今XYZ地下街のマクドナルドの前です。
B:マクドナルドの前から駅方面に向かい5件目くらいです。
A:ありがとうございます。
B:どういたしまして。
 
 
会話において必要な情報を効率的に伝えることは技術です。特にビジネスのシーンにおいては日常様々なコミュニケーションをとることが多く、内容を正確に分かりやすくすること基礎中の基礎です。
 
特に日本語は他の言語と比べて大変複雑な言語のようです。ある言語学の研究では日本語はもっとも「ハイコンテキスト」、つまり表現が複雑な言語に属し、意味の解釈に幅があるそうです。その反対はドイツ語でこちらは極めてシンプルで解釈の差が出ない「ローコンテキスト」だそうです。
 
たしかに日本では空気を読んだり文章から間接的に含意で伝えることも多く、それは身内の中では相手に気を遣ったり、争いを避けたりする点ではよい文化だと思います。しかし対話の相手に同じ習慣がなく日本語や日本文化についても詳しくないグローバルのケースなどでは不都合も生じます。また日本人同士でもなかなか意味が通じないこともあります。上記の会話などもそのひとつで結果的にコミュニケーションは完結していますがずいぶん会話のキャッチボールの往復が多くないですか?
 
日常生活ではこれで問題はないかもしれませんが、これが以下のようなビジネスの現場だったらいかがでしょうか?
 
A:部長、クライアントが怒って炎上しています
B:どうした?どこのクライアントだ?
A:X社です。
B:何があった?
A:誤発注があったようです。
B:何の誤発注?
A:昨日の納品で個数を間違えました。
B:何の個数?
・・・
・・・
 
いちいちBさんがAさんに必要な情報を聞かないと状況が分かりません。たぶん部長のBさんはイライラしていることでしょう(笑)。昔のコンサル会社なら「30分後に情報まとめてから報告して!」と冷たく突き返されました。もしくはここで書けないような「******」な言い方で突き返されたことも多々ありました(苦笑)。
 
 
以下のように修正するとシンプルです。
 
 
A:部長、X社に誤発注があり担当が怒っています。
昨日の商品Yの発注で個数を間違え*個の発注に対し*個しか送りませんでした。
 
 
2つの例から言いたいことを伝えるときの原則を導き出してみると以下のようになります。
 
ーAの立場から
要件を最初に伝える(場所を教えてほしい)
必要な情報を補足する(今いる場所)
 
ーBの立場から
相手の要件を聞き取る
具体的な内容を得る
 
 
言いたい内容を効率的に伝えるにはちょっとした技術が必要です。
 
原則は以下の通りで、誰が聞いても100%間違わない文章が理想です。
 
(1)基本形は「結論>理由>詳細」の順に話す
(2)具体的に話す(一般化しない)
(3)短い文章にする *単文のみを使う
 
少しだけそれぞれの項目について解説します。
 
(1)基本形は「結論>理由>詳細」の順に話す
 
話す順序を「結論」から初めて、その「理由」、そして補足する「詳細」な情報にします。
これは日常の会話と異なることが多々あります。我々は時系列で話すことのほうが得意です。例えば以下のようになります。
 
「先ほどX社から電話がありました。私が電話に出たんですがかなり先方が怒っていて対応していたんですが、どうしましょう。なんか話を聞いてみると発注にミスがあったみたいです。どうも発注個数が違っていたみたいで先方は*個発注したと主張していますがウチは*個しか送らなかったみたいです。」
 
前述の整理されたメッセージをもう一度書いてみます。
 
「X社に誤発注があり担当が怒っています。昨日の商品Yの発注で個数を間違え*個の発注に対し*個しか送りませんでした。」
 
最初の長いメッセージではほぼ時系列に自分のとった行動の順で話しています。これは話し手からすると自然で反復するだけなので楽です。しかし聞き手はこれを最後まで聞いて、内容を咀嚼し整理する必要があります。結局後の回答例にあるように解釈する必要があり、それをもとに次の対応を判断しなければなりません。その聞き手の解釈の部分の負担を減らすことが効率化につながります。
 
もし「結局どういうこと?」、「要は何?」という質問を話す自分に投げかけて整理してから伝えるようにするとよいでしょう。
 
 
 
(2)具体的に話す(一般化しない)
 
一番最初の例で解説します。
 
A:今近くにいるんですが、お店の場所教えてもらえますか?
B:XYZ地下街です。
 
ここでXYZ地下街のどこかを具体的に話をすれば話のキャッチボールの一往復が減ります。
 
A:今XYZ地下街にいて迷っているんですが?
B:どのあたりに居ますか?
A:マクドナルドの前にいます。
 
この例では実際に詳細まで伝えなかったので、「XYZ地下街のどこ?」という質問を相手にさせています。
 
B:そこからすぐですよ!
 
「そこからすぐ」というのはどういくのか言っていません。したがってAさんはその方法をもう一度聞くことになります。
 
A:マクドナルドからどういけばよいですか?
B:そこから真っすぐです。
 
ここも真っすぐいくときには、どの方向に行くか言っていません。おそらくお店の人は場所も知っているのでちょっと見回せばわかるという判断が働いていると想像しますが、それで分からないから電話して聞いていることを考えれば「すぐですよ!」の回答は不適切です。
 
A:どちらのほうにいけば良いですか?
B:**駅の方面です。
A:どれくらい歩きますか?
B:5件隣りくらいにあります。
 
その結果こういうキャッチボールがでてきますね!
 
A:ありがとうございました。
B:どういたしまして。
 
この最後の部分は質問と回答とは直接関係ありませんが、一通りの案内をしてもらったことに対する感謝を表す表現として必要ですね。
 
 
(3)短い文章にする 
できれば単文のみを使いましょう。単文というのは主語と述語が一つずつの文章です。主語が二つ以上あるものを複文といいますが2つある時には原則2つ以上の文章に分解しましょう。例外は二つ主語があっても同列で述語が一つならばまとめる必要はないです。
 
「私と母は長身だ。」の文章は「私は長身だ。母も長身だ。」には分ける必要はありません。
 
「私は赤が好きだけど、母は青が好きだ。」のタイプの文章は「私は赤が好きだ。(一方で)母は青が好きだ。」に分けます。
 
後者の例は簡単すぎてかえって冗長と思われるかもしれませんが、分けることで2つの文章の関係が見えてきます。
「私は赤が好きだ。」と「母は青が好きだ。」は並列であることと、述語部分が同じでないと言ことが構造上分かり、「一方で」という接続詞がその構造を表現します。
 
このように単文に分解することで、それぞれ分解された単文の間の関係に注目するようになります。その関係が並列であるのか主従の関係になるのかなどかを意識することで、それぞれの文章の持つ位置づけが分かってくるようになります。
 
 
 
今回はコミュニケーションの内容であるロジカルな部分の解説をしました。一方でこれ以外にも言葉では表現されていない情報も実際のコミュニケーションでは含まれています。例えば「今クライアントが猛烈に怒っているので私は焦っています!」とか「私ではどうにもならないので助けてください!」などがあり、その様子によって聞く人はその優先度や緊急度をはんだんしています。これらについてはまた別の機会で解説したいと思います。