Goodfind講師ブログ

次代を創るビジネスリーダーのためのキャリアサイトGoodfind

あなたの話は分かりやすいか?ーロジカルなコミュニケーションとは?-

<ある会話>
 
A:今近くにいるんですが、お店の場所教えてもらえますか?
B:XYZ地下街です。
A:今XYZ地下街にいて迷っているんですが?
B:どのあたりに居ますか?
A:マクドナルドの前にいます。
B:そこからすぐですよ!
A:マクドナルドからどういけばよいですか?
B:そこから真っすぐです。
A:どちらのほうにいけば良いですか?
B:**駅の方面です。
A:どれくらい歩きますか?
B:5件隣りくらいにあります。
A:ありがとうございました。
B:どういたしまして。
 
 
<同じ内容の効率的な会話>
 
A:そちらのお店の場所を教えてください。今XYZ地下街のマクドナルドの前です。
B:マクドナルドの前から駅方面に向かい5件目くらいです。
A:ありがとうございます。
B:どういたしまして。
 
 
会話において必要な情報を効率的に伝えることは技術です。特にビジネスのシーンにおいては日常様々なコミュニケーションをとることが多く、内容を正確に分かりやすくすること基礎中の基礎です。
 
特に日本語は他の言語と比べて大変複雑な言語のようです。ある言語学の研究では日本語はもっとも「ハイコンテキスト」、つまり表現が複雑な言語に属し、意味の解釈に幅があるそうです。その反対はドイツ語でこちらは極めてシンプルで解釈の差が出ない「ローコンテキスト」だそうです。
 
たしかに日本では空気を読んだり文章から間接的に含意で伝えることも多く、それは身内の中では相手に気を遣ったり、争いを避けたりする点ではよい文化だと思います。しかし対話の相手に同じ習慣がなく日本語や日本文化についても詳しくないグローバルのケースなどでは不都合も生じます。また日本人同士でもなかなか意味が通じないこともあります。上記の会話などもそのひとつで結果的にコミュニケーションは完結していますがずいぶん会話のキャッチボールの往復が多くないですか?
 
日常生活ではこれで問題はないかもしれませんが、これが以下のようなビジネスの現場だったらいかがでしょうか?
 
A:部長、クライアントが怒って炎上しています
B:どうした?どこのクライアントだ?
A:X社です。
B:何があった?
A:誤発注があったようです。
B:何の誤発注?
A:昨日の納品で個数を間違えました。
B:何の個数?
・・・
・・・
 
いちいちBさんがAさんに必要な情報を聞かないと状況が分かりません。たぶん部長のBさんはイライラしていることでしょう(笑)。昔のコンサル会社なら「30分後に情報まとめてから報告して!」と冷たく突き返されました。もしくはここで書けないような「******」な言い方で突き返されたことも多々ありました(苦笑)。
 
 
以下のように修正するとシンプルです。
 
 
A:部長、X社に誤発注があり担当が怒っています。
昨日の商品Yの発注で個数を間違え*個の発注に対し*個しか送りませんでした。
 
 
2つの例から言いたいことを伝えるときの原則を導き出してみると以下のようになります。
 
ーAの立場から
要件を最初に伝える(場所を教えてほしい)
必要な情報を補足する(今いる場所)
 
ーBの立場から
相手の要件を聞き取る
具体的な内容を得る
 
 
言いたい内容を効率的に伝えるにはちょっとした技術が必要です。
 
原則は以下の通りで、誰が聞いても100%間違わない文章が理想です。
 
(1)基本形は「結論>理由>詳細」の順に話す
(2)具体的に話す(一般化しない)
(3)短い文章にする *単文のみを使う
 
少しだけそれぞれの項目について解説します。
 
(1)基本形は「結論>理由>詳細」の順に話す
 
話す順序を「結論」から初めて、その「理由」、そして補足する「詳細」な情報にします。
これは日常の会話と異なることが多々あります。我々は時系列で話すことのほうが得意です。例えば以下のようになります。
 
「先ほどX社から電話がありました。私が電話に出たんですがかなり先方が怒っていて対応していたんですが、どうしましょう。なんか話を聞いてみると発注にミスがあったみたいです。どうも発注個数が違っていたみたいで先方は*個発注したと主張していますがウチは*個しか送らなかったみたいです。」
 
前述の整理されたメッセージをもう一度書いてみます。
 
「X社に誤発注があり担当が怒っています。昨日の商品Yの発注で個数を間違え*個の発注に対し*個しか送りませんでした。」
 
最初の長いメッセージではほぼ時系列に自分のとった行動の順で話しています。これは話し手からすると自然で反復するだけなので楽です。しかし聞き手はこれを最後まで聞いて、内容を咀嚼し整理する必要があります。結局後の回答例にあるように解釈する必要があり、それをもとに次の対応を判断しなければなりません。その聞き手の解釈の部分の負担を減らすことが効率化につながります。
 
もし「結局どういうこと?」、「要は何?」という質問を話す自分に投げかけて整理してから伝えるようにするとよいでしょう。
 
 
 
(2)具体的に話す(一般化しない)
 
一番最初の例で解説します。
 
A:今近くにいるんですが、お店の場所教えてもらえますか?
B:XYZ地下街です。
 
ここでXYZ地下街のどこかを具体的に話をすれば話のキャッチボールの一往復が減ります。
 
A:今XYZ地下街にいて迷っているんですが?
B:どのあたりに居ますか?
A:マクドナルドの前にいます。
 
この例では実際に詳細まで伝えなかったので、「XYZ地下街のどこ?」という質問を相手にさせています。
 
B:そこからすぐですよ!
 
「そこからすぐ」というのはどういくのか言っていません。したがってAさんはその方法をもう一度聞くことになります。
 
A:マクドナルドからどういけばよいですか?
B:そこから真っすぐです。
 
ここも真っすぐいくときには、どの方向に行くか言っていません。おそらくお店の人は場所も知っているのでちょっと見回せばわかるという判断が働いていると想像しますが、それで分からないから電話して聞いていることを考えれば「すぐですよ!」の回答は不適切です。
 
A:どちらのほうにいけば良いですか?
B:**駅の方面です。
A:どれくらい歩きますか?
B:5件隣りくらいにあります。
 
その結果こういうキャッチボールがでてきますね!
 
A:ありがとうございました。
B:どういたしまして。
 
この最後の部分は質問と回答とは直接関係ありませんが、一通りの案内をしてもらったことに対する感謝を表す表現として必要ですね。
 
 
(3)短い文章にする 
できれば単文のみを使いましょう。単文というのは主語と述語が一つずつの文章です。主語が二つ以上あるものを複文といいますが2つある時には原則2つ以上の文章に分解しましょう。例外は二つ主語があっても同列で述語が一つならばまとめる必要はないです。
 
「私と母は長身だ。」の文章は「私は長身だ。母も長身だ。」には分ける必要はありません。
 
「私は赤が好きだけど、母は青が好きだ。」のタイプの文章は「私は赤が好きだ。(一方で)母は青が好きだ。」に分けます。
 
後者の例は簡単すぎてかえって冗長と思われるかもしれませんが、分けることで2つの文章の関係が見えてきます。
「私は赤が好きだ。」と「母は青が好きだ。」は並列であることと、述語部分が同じでないと言ことが構造上分かり、「一方で」という接続詞がその構造を表現します。
 
このように単文に分解することで、それぞれ分解された単文の間の関係に注目するようになります。その関係が並列であるのか主従の関係になるのかなどかを意識することで、それぞれの文章の持つ位置づけが分かってくるようになります。
 
 
 
今回はコミュニケーションの内容であるロジカルな部分の解説をしました。一方でこれ以外にも言葉では表現されていない情報も実際のコミュニケーションでは含まれています。例えば「今クライアントが猛烈に怒っているので私は焦っています!」とか「私ではどうにもならないので助けてください!」などがあり、その様子によって聞く人はその優先度や緊急度をはんだんしています。これらについてはまた別の機会で解説したいと思います。
 
 

コロナで身近に迫る危機(その2)

前回の記事の続きです。


<その2(もくじ)>
(4)国際化の中での孤立
(5)企業の合併、買収など再編
(6)国家または企業による個人情報の独占
(7)企業や国家によるメディア私物化



(4)国際化の中での孤立
 
人々の日常生活における移動が減っています。在宅勤務が増え一部は以前のように会社や学校に行く生活に戻っていますが、他の国では第3次の感染者の増加により再度外出禁止などの措置が取られています。日本においても10月にいったん経済を活性化するために「go toキャンペーン」が行われました。これは外国人の来日がなく地方の観光地などは打撃を受けている中、外出したい日本人による国内からの内需の活性化と地方への還元という文脈では論理的です。
 
そのような中で国々をまたぐ移動がほぼなくなった現在でもオンラインの世界での活動は活発です。4月にはあまりなかったオンラインでのイベントやセミナー(ウェビナー=webinarといいます)は現在乱立状態になり、またyoutuberも増えました。現役も引退された方もスポーツ選手の多くがyoutubeチャンネルを開設しており、視聴者の限られた時間を奪い合っています。
 
オンラインで生活または仕事する人が増えて活動的になる一方で、そこに対して適応に時間がかかる人がいるのも事実です。もちろん困るのは適応できない側で、それは全体としてみた日本という国がこれに該当します。物理的に島国で海に囲まれて守らている国は、「ガラパゴス」にはなりがちです。これまでも政府等が主体になり国際化のための教育や制度を整えてきましたが、物理的な移動が制限されることで留学などを含めやりにくくなっています。

一方でオンラインでの生活が普及してくると島国とかアジアにあるとか、そういう地理的な事情はもはや関係がなくなってきます。実際、問題意識がある場合はインターネットにつながっている相手や国であれば、国内の人にコンタクトするのと全く同様にアクセスすることが可能です。
それを阻んでいるのが語学の壁と、内向きの態度です。現在ネットでつながったことによって海に囲まれたこととか関係ないはずなのに、なんか理由もなく外に出ていかないということになっていませんか?飼いならされた動物が首輪がなくても外に出なくなっているのと同じ現象が今まさに起こっていると思います。
 
 
(5)企業の合併、買収など再編
 
景気はしばらく悪い状態が続きます。株価だけが堅調ですがあれは”官製”のバブルです。もはや株式市場は実体経済と乖離しすぎており、「株式市場」というルーレットが政府よって運営されています。
実経済はもう少し心配でIMFの今年のGDPの予想値は-4.4%となっています(7月)。今後の改善のスピードは、コロナによる移動制限が今後もどれくらい続くか、またはワクチンがいつくらいに量産できるかによって決まります。
業界内での倒産、買収、再編などは景気の悪い所から起こります。まず起こっているのは航空産業で、ヴァージンエアやタイエアが4月くらいに倒産しました。そして韓国第二位のアシアナ航空もつぶれ業界第一位の大韓航空に吸収されるようです。
 
全般的には旅行、飲食、小売りなどのコンシューマー向け業種がコロナの影響が大きいため最初に再編が来ますが、それがだんだん他のサービス業、そして購買力低下がやがて製造業に波及していくことが予想されます。
自動車の販売台数も今年は激減しそうで、トヨタ自動車はまだ利益を確保しそうですが、その他の会社は不振によりリストラ、合併や提携を視野に入れた動きが加速すると予想されます。
 
 
(6)国家または企業による個人情報の独占
 
コロナのクラスター早期発見や拡散防止のために、スマホを使ったトラッキングシステムは有効です。その最たる例は中国で、元々国家による一元管理があったため拡散防止の時には徹底して非常に役に立ちました。例えば自分が検査で陽性になった場合、3日以内に出会った同じ列車の同じ車両に乗った人全員に濃厚接触者であることを知らせ、すぐに隔離して検査させるなど中国でしかできない芸当もありました。
先進国では個人情報保護や個人の権利主張などがあるため、このような一元管理は表立ってはすることができませんが、危機管理の点からはある程度集権的にデータを扱うことはパンデミックの対応としては適切です。
 
問題は本来は国が主体となりこのことをすすめることは良いのですが、データを持っているのがGAFAなどの企業群になると国家は彼らの力を借りなければ何もできなくなります。さらに企業には株主がいたり、グローバルに展開するため特定の国単位での利害の調整が難しかったりします。GAFAのデータの独占状況は本当に「独占」状態で極端なため、定期的に競合から独占禁止法違反の訴訟を受けていて、解体を要求されています。
企業が独禁法違反の勧告を受けて解体されたときにはデータも分散します。そうなるとデータ間の突合などがやりにくくなるので、中国のような一元管理するシステムよりも効率がわるくなることなり、中国のGAFAである「BAT(Baidu、Alibaba、Tenscent)」または「BATH(Baidu、Alibaba、Tenscent、Huawei)」などと差がつき、彼らのテクノロジーが欧米を上回るという事態が発生するかもしれません。
 
このあたりのいろいろな事情が絡まっているところが難しい所で、今後はビジネスのみならず防衛や軍事、ヘルスケア全般でデータの独占とその利用、取り扱いの問題はどんどん大きくなっていくことが予想されます。
 
 
(7)企業や国家によるメディア私物化
 
アメリカの大統領選挙やコロナの報道からメディアの情報にかなり偏りがあり、場合によってはそのメディアの事情で情報統制される傾向があることがありました。本来ジャーナリズムは中立の立場で自身の立場と責任をもって意見を発することが存在意義でしたが、最近の資本主義においては少し様子が変わってきました。
一般には共産圏では情報統制が大きく、例えば旧ソビエト連邦などは共産党に有利な情報しか流さなかったことは有名な話です。しかし実際は民主化して約30年たった今でももしかするとそれほど状況は変わっていないかもしれません。中国では現在もファイアーウォールがあり、いくつかのブログやメディアを見ることはできませんし、googleのツールやLINE、facebookなどのSNSVPN経由でしか使えません。
 
国家とは別に企業もメディア情報をコントロールしています。企業はメディアのオーナーであり、その企業には株主という資本主義では絶対に逆らえない人たちがいます。現代では政治のプロパガンダにネットの利用が有効であり、そのため支持政党を応援する大株主が自分の会社のメディアに対して支配力を使っています。その影響は全く関係のない視聴者のほうにもおよび、メディアの恣意的な「見えざる力」に引っ張られる機会が多くなっています。
 
我々はそれに対してどう対処することがよいのでしょうか?
 
情報リテラシー」を磨くことが必要になっています。具体的には書いてある情報を正確に読み取る力とメディアのポジションを理解したうえで解釈するという力です。それは例えば小売店のチラシを見るときと同じです。チラシには宣伝が書いてあると思えば、それは想定した消費者に購買意欲をもりあげるために書かれている情報、と解釈すればよいのです。
 
ネットでの情報が氾濫し我々は以前にもまして賢く生きることが求められています。「国営放送や新聞社が言うのだから間違いない!」みたいなことを言っていては生きていくことが厳しくなる時代だと思います。
 
 
以上2回シリーズになりましたが、コロナで身近に迫る危機についてお話しました。

コロナで身近に迫る危機(その1)

コロナ禍で明らかになってきた危機について2回に分けて少しお話します。各テーマについては海外の関連する記事のリンクも張りましたのであわせてご覧ください。

 

<その1>
(1)運動不足が危機的
(2)人間関係の希薄化と孤立
(3)域内経済格差の拡大

<その2>
(4)国際化の中での孤立
(5)企業の合併、買収など再編
(6)国家または企業による個人情報の独占
(7)企業や国家によるメディア私物化

 


(1)運動不足が危機的

 

自粛生活は生物としての人類を退化させています!
iPhone、AppleWatch、Fitbitなどを持っている方は自分の万歩計を見てみてください。コロナでの自粛の前後で歩く距離が大きく変わっていると思います。

ちなみに私個人も今年3月くらいから目に見えて平均の歩く歩数が減っています。これでも8000歩を確保するためにランニングしたり散歩しているのでなんとか8000歩になっていましたが10月はオンラインの仕事激増のため、遂に平均できってしまいました(涙)。

 

別に食事もコントロールしているから肥満とか大丈夫、と思っている方、ちょっとふさぎ込んだり、鬱気味になっていませんか?鬱までいかなくともどうもやる気が起こらない、とか人と会うのがおっくうだ、とかパフォーマンスが上がっていないという声を自分の周囲では良く聞きます。

 

<解決案>
是非明日から昼間太陽が出ている時に外に出て散歩しましょう。太陽が出ている時の昼間に、というところが大切です。我々は野山を駆け巡るようにつくられており、それは急には変わりません。生物としての退化は頭脳労働にも影響しますので一日8000歩(約1時間15分くらい)を目安に運動してください。

 

<海外の記事(参考)>
-WHO(World Health Organization)
https://www.who.int/news-room/campaigns/connecting-the-world-to-combat-coronavirus/healthyathome/healthyathome---physical-activity

-Michigan Medicine
https://medicine.umich.edu/dept/psychiatry/michigan-psychiatry-resources-covid-19/your-lifestyle/importance-physical-activity-exercise-during-covid-19-pandemic

-US National library of medicine
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7302086/

 

 

(2)人間関係の希薄化と孤立

 

オフィスに行かなくなり、人と接する時間が減っている人も多いのではないかと思います。オンラインの会議は効率的でオフラインの会議よりも短くトピックからも外れた話になりにくいため、その点では非常によいです。一方で雑談も減り人間的な会話も減っています。また他部署の方とはほとんど会わなくなっているところも多いと思います。これまでであれば別部署でも隣のグループなら挨拶したり、時々食事に行ったりということが自然に行われていました。しかしこれがなくなると隣のグループが何をやっているか全くわからなくなったり、または自分は担当となる仕事をするだけの「仕事マシーン」みたいに思えてくることもあるのではないでしょうか。

 

<解決案>
社内でカジュアルな組織横断的オフ会をしましょう。仕事の話は禁止にして普通の飲み会かお茶会。またはちょっとしたテーマで議論したりするオンラインの会に積極的に参加しましょう。最初は違和感があるかもしれませんが、オンラインでの参加には今から慣れておくと良い思います。
または自分からオンラインの会を開いてみてはどうでしょう?テーマの準備など大変かもしれませんが勉強になるし、集客するときにはSNSなどをつかったネットマーケティングを学べると思います。失敗したところで大して失う物もないので周囲の友達へのよびかけからやってみてはどうでしょうか?

 

<海外の記事(参考)>
-CNN
https://edition.cnn.com/2020/08/25/health/pandemic-effect-on-relationships-wellness/index.html
-BBC
https://www.bbc.com/future/article/20200601-how-is-covid-19-is-affecting-relationships

 

 

(3)域内経済格差の拡大

 

残念ながらコロナによりどうしても盛り上がることのできない業界があります。小売、飲食、旅行などがそうですが地域の小規模店舗も少なからず打撃を受けています。一方でEC、オンラインサービス、ネットでの販売力があるピザなど飲食ですが追い風です。UberEatsも今回で存在を一気に高めました。
これらの産業が集積されている都会ではまた悪い影響は小さいのですが、一般に地方に行けば行くほど観光への依存が大きいため経済への影響は大きくなります。
産業ごと、地域ごとなど一つの国の中でも差が大きくなはじめ、悪い事実として良くなる人よりも悪くなる人のほうが圧倒的に数が多いということがあげられます。

 

<解決策>
個人に関してはITスキルやネットでの活動量を増やすことをお勧めしたいです。またSNSでは「実名」でしっかり自分の存在を明らかにし、自分の名前で行動できるようにすることをお勧めしています。
ビジネスで使うSNSとしては国内ならfacebook、海外であればLinkedinがシェアを持っています。個人でイベントなどを行う場合はtwitterリツイートでどんどん拡散するので強力な武器になります。また独自のコンテンツを持っている、もしくは一芸に秀でているのであればyoutubeで配信することもあるかもしれません。
何も全員がyoutuberになる必要はありませんが、一部のファンにでもコンテンツを伝えることができればそれが思いのほか違った方向での展開も今後あるかもしれません。
それと地方へのオフィス移転などもよい動きだと思います。パソナが淡路島にオフィスを移転しましたが、会社でなくとも東京で働く人が地方に移り住み、リモートで働くということが増えることは良いと思います。

 

<海外の記事(参考)>
-Forbes
https://www.forbes.com/sites/bernardmarr/2020/04/17/8-job-skills-to-succeed-in-a-post-coronavirus-world/
-McKinsey
https://www.mckinsey.com/business-functions/mckinsey-accelerate/our-insights/accelerate-blog/thriving-after-covid-19-what-skills-do-employees-need#

 

 

前半はここまで。次回の後半では残りの4つの少し国際的な視点でお話したいと思います。

 

to be continued

大学卒業後30年たって気づいたギャップと発見

1988年学部卒、その後、数学科ドクターに行き1993年に外資系コンサルに就職しました。就職後独立したり連続起業家になったりして世界も周りいろいろなものを見てきましたが、学生時代に思っていたことと大きなギャップがあったので今回はそれらをまとめてみました。
特に大学生など若い人の参考になれば幸いです。(*箇条書きでまとまっておらずスミマセン)

 

・自分は自然科学が好きで向いていて、文系就職してもこの傾向は変わらない。サイエンスが生かせる分野は結構たくさんありコンサル会社はその一つでよかった。(今は大学院で経済や経営を教えているが、実は今でも数学と物理のほうが得意で心地よい。)
・コンサルでうまくいった理由は自然科学の態度で観察する力。これは完全に数学と物理の研究の副産物。
・言語表現は社会人になってからのびた。とくに論理的に表現する能力は、こなした時間と共に指数関数的に進歩した。
・記憶力や学習方法にはテクニックがある。動機付けとプロセスの工夫をすると改善余地は大きく誰にでもかなり伸びしろがある。
・個人の持つ可能性は想像以上に大きい。昔は将来の可能性に対して否定的だったが、自分の思いもしない良いシナリオがたくさんあることが分かった。多くの人、特に日本人は謙虚になりすぎて自分の可能性を自ら否定しているふしがある。これはもったいないので是非『勘違い』して高みを目指してほしい。
・世の中の変化は結構激しい。自分も周囲もどんどん変わっていくのでほぼ予測不可能。
・価値観や世界観は結局自分の見たものだけで形成される。これらは客観性を求めるものではなく人と比べるものでもない。
・客観的と思われる科学の常識も新しい発見で時に180度変化する。例えばマーガリンはバターより健康的とか、静的なストレッチはウォームアップに良いなど。
・体力はトレーニングをすることで意外と落ちていかない。特に最大筋力、持久力はともに最小限のトレーニングでもそこそこ維持できる。
(ダメになるものもあり、動体視力、瞬発力、反転力、バランスなどはなかなか維持は難しく感じる)
・飲食と睡眠が人生ではかなり重要。特に心身の健康維持は頭脳労働者にとっても大切。
・上手に年齢を経ないと自分の変化に気づかない。それは10代から20代への変化でも同じ。自覚はなくとも年齢が上がり立場も変わるので他人から見えている自分の姿は変わる。
・年長者もそれほど凄い人ばかりではない。年長者への敬いは凄く美しい態度でこれには100%賛成であるが、無条件に彼らの言うことを聞いたり真似る必要はない。
・世界は広く、知識も無限にある。あのニュートンが自分はほんの一部しか分からないと言っていたが、本当にその通りだ。(少年老い易く学成り難し、孔子
・年齢と共に賢くなったり悟ることがある。(論語より「子曰く、吾十有五にして学に志す、三十にして立つ、四十にして惑わず、、、」)
・歴史から学ぶことはたくさんある。人類は同じような過ちを繰り返しているが、それは大変残念なことである。
・学問の基本は「読み、書き、そろばん」の原則は今でもなりたつ。分野で言うなら国語と算数は両方大切で、文系だからとか理系だからどちらかはダメという言い訳はよくない。

・年齢が上になるほど学ぶことの重要性を強く感じる。若いときにしっかりやっておいたほうがよいことはずばり”英語の勉強”!自分は”ちゃんと”やらなかったので今でも不完全で苦労している。

 ・日本は世界の中で小さいがプレゼンスもあり特徴のある国である。そして日本人は海外に出ればいろいろな点で特殊な習慣や価値観をもつ人々である。

・人生の成功確率は、情報量とネットワークがあると格段に上がる。したがって狭い世界にこもっていればどんどん確率は下がっていく。

・ニュースや本、メディア、教育、思想、科学などどれも完全なものではない。時にそこには利害関係者の恣意がはいっており、それに気づかないと洗脳状態になる。

 

「論理(ロジック)」について学びなおす~その6(相関と因果)「バスケットをやると身長が伸びる?」~

 
「バスケットボールの選手は身長が高い。よってバスケットボールをすると背が伸びる」
「ピアノを習う子は勉強ができる。よってピアノを習うと勉強ができるようになる」
 
よく聞きそうな話である。しかしなんか怪しいくないだろうか?
 
今回は二つ以上の物事の関係を表す「相関関係」と「因果関係」について解説します。
 
まず冒頭の
 
「バスケットボールの選手は身長が高い。よってバスケットボールをすると背が伸びる」
 
は正しい推論だろうか?
 
まず推論の検証の前に現在分かっていることを確認すると、遺伝子に関する統計的な調査で身長には遺伝子が大きく関係する。だからと言って科学的な結論は「遺伝子が全てだ!」とまでは言っておらず、「遺伝子の影響が大きい」と言っているに過ぎない。
 
では身長を決める要因として「遺伝子」以外に「バスケットボール」は関係あるのであろうか?
 
結論から述べると、これだけでの情報では分からない。
少なくとも論理的に言えることは、
「バスケットボール選手の身長が高い」ということから「バスケットボールをすると身長が伸びる」ということは導けない。
 
おそらくは、ゴールが高いところにあるバスケットボールでは身長が高いとゴールに近いため有利である。その特徴のため身長の高い人が選手として残っていく。というのが正しい推論だろう。
 
ここで「相関関係」という言葉について説明すると、「バスケットボールの選手である」ということと「身長が高い」という事実が同時に起こりやすいときに「相関がある」という用語で表す。より一般的な言い方をすると「一つの事象の性質が強くなればなるほど、もう一つの事象の性質も強く(または弱く)なる時”相関(関係)がある”」という。
簡単な例では身長と体重は相関関係がある。一般には「身長」が高くなればなるほど「体重」は大きくなる傾向がある。これは統計的に正しい事実で、我々も経験上よくわかっている。
 
「身長」と「体重」の例は初歩の統計学で相関関係の典型例として教えられ、だいたいクラスなどの中でサンプルを30名くらいとれば、グラフに示すと身長と体重の関係は右肩上がりに散らばっているのを見たことがある人は多いはずだ。数学の用語ではこれに度合いを付けて「相関係数」という数字でその強さを表現したり、近似する一次直線を求めたりする。
ちなみに相関は2つの変数(対象」だけを扱うわけではなく3つ以上でも問題ない。例えば「身長」、「体重」、「体積」の3つを取ったとすると、これもそれぞれ相関関係がある。
 
このように「相関」というのは2つの対象がそれぞれ他方と連携しているか、というのがこの用語を使う気持ちである。
ここで注意したいことは相関する2つを考える場合、それらの間には時間の前後(Aが起こったからBがおこる)や因果関係(AはBの原因である)は必ずしもないということである。(つまり関係ない)
 
ここでさりげなく述べたが
 
(1)時間の前後がない
(2)因果関係がない
 
に注意してほしい。
 
(1)「バスケットボールをする」=>「身長が伸びる」には時間の前後がある
(2)「バスケットボールをする」=>「身長が伸びる」と考えるときには因果関係を想定している
 
この例で言えることは
 
「バスケットボールの選手」<=>「背が高い」 *相関関係がある
 
だけであり、上記の時間の前後や因果関係は一切ない。
 
 
 
(★ここ大事)
今回の話の結論をここでまとめると、以下のようになる。
 
「相関関係」がある時に時間的な順序や因果関係を勝手に想定しない!
 
ちなみに、しかしなぜ我々はそのような誤解をしがちなのであろうか?それには理由があり、そこを理解するとこのバグに引っかかることが少なくなりますので、「疑似相関」について解説しようと思います。
 
「バスケットボールの選手であること」と「背が高いこと」は相関関係はありるが因果関係はありません。この2つを結び付けているのは「(ゴールの位置が高い)バスケットボールは背が高いことは有利」という事象です。
 
「バスケットボールの選手である」<=>「(ゴールの位置が高い)バスケットボールは背が高いことが有利」
「背が高い」<=>「(ゴールの位置が高い)バスケットボールは背が高いことが有利」
 
このように2つの事象を関係づける”第三の”事象があって初めて関係が説明されます。
このような時に元の2つの関係を「疑似相関」とよびます。
 
「擬似相関」とは、2つの事象に因果関係がないのに、第三の要因により因果関係があるかのように推論されること。(少し厳密ではない言い方ですが、ここではこの言い方をします)
 
 
他の例で説明すると
 
「ピアノを習っている子供の学校の成績は良い。ピアノを習うことで学校の成績が良くなる」
 
ここでの2つの事象を結び付けているのは、「良い家庭環境」でしょう。これがある家はピアノを習わせているし、たぶん勉強もしっかししているので学校の成績が良くなります。
 
最後になりますがこれを読んでいる就職活動をしている人には、この疑似相関があるか考えてみてください。
 
「コンサル会社に入ると成長できる!」
 
バスケットボールの例とどこか似てないでしょうか?(だいぶ前提も曖昧ですが。。)
 
 
 
 

(番外の補講)「論理(ロジック)」について学びなおす~その5(数字編)「PCR陽性はどれくらい危ない?」

前の記事の番外の補講です。
前回のPCR検査の記事が思いのほか反応があったので、現実に近いと思われる数字を使いより具体的なケーススタディとしたいと思います。

*予めお断りしておきますがPCRやコロナ対策の是非を主張するための試算ではありません。

 あくまで数字を使いながら実体把握し推論を進めるケーススタディとして解説します。

前回の記事では以下の数字を想定して計算しました。
「論理(ロジック)」について学びなおす~その5(数字編)「PCR陽性はどれくらい危ない?」


==================================
(以下計算のための仮定)
このPCR検査は”本物の”コロナ患者が受けると99%の割合で陽性が出るが1%は陰性(「偽陰性」という)になる。一方患者でない人が受けても10%陽性が出て(「偽陽性」という)、90%は陰性となる。*実際確実に検出しようとするとそうなるらしい。
さてコロナの患者の割合は全人口の0.1%と分かっているとすると、陽性と判断された人が本当にコロナにかかっている確率はいくらか?
==================================

この計算結果は上記の前提だと、実際に感染者である確率(陽性的中率)は約1%でした。


さてこの時は計算の練習として適当に数字をおきましたが、本物の数字を入れたらどうなるの?と思ったので、ネットで正しそうに思われる数字を調べたうえで、それを使って試算しなおします。

(参考)

COVID-19でのPCR検査体制 | 日本医師会 COVID-19有識者会議
【COVID-19 に関する一般的な質問に対する現時点での文献的考察】 v1.2 (2020/3/23)
感染症結核学術部会
https://www.jrs.or.jp/uploads/uploads/files/information/20200325v1.220200323.pdf

 

上記などのネットの記事をもとに以下の仮定を置いてパターン分けして試算しました。

<仮定>

(1)感度(感染者が検査で陽性になる確率)は70%で固定 *ここは多分これくらい
(2)特異度(非感染者が検査で陰性になる確率)は以下で試算(90%/99%/99.9%/99.99%)
(3)事前確率(全人口に占める感染者の割合)は以下で試算(10%/1%/0.1%/0.01%)

そこで作ったのが以下の表になります。

 

f:id:goodfind:20201103235206p:plain


 

事前確率を一定とすると、特異度が高い(=陰性の人が検査で確実に陰性になる)と、「陽性的中率」は上がる。言い換えると検査で陰性の人がちゃんと陰性反応と出るほど、嘘の陽性(偽陽性)がでにくくなる。*以下の図の青の線

特異度を一定とすると、事前確率が上がるほど「陽性的中率」は上がる。言い換えると世の中の人の感染者の割合が高いほど、嘘の陽性(偽陽性)がでにくくなる。*以下の図の緑の線

f:id:goodfind:20201104133401p:plain






以上は定性的な記述をしていますが、ここからは数字を使ってもう少し実態を記述することにします。

★ここから少し数学を使った話になります★

独立変数(=お互いに独立して関係のない変数)は3つで、それぞれx、y、zとおきます。

 

(1)感度(感染者が検査で陽性になる確率)(70%)(=x)

(2)特異度(非感染者が検査で陰性になる確率)(90%-99.99%)(=y)

(3)事前確率(全人口に占める感染者の割合)(0.01%-10%)(=z)

 

なんとなく「独立変数は3つ」と言いましたが、この3変数がお互いに全く影響を与えない勝手な値をとれることがまず第一のポイントです。

 

「感染者が陽性になる確率が70%の場合、非感染者が陰性になる確率は30%じゃない?」

 

違います。

 

これは「AならばBである」の命題が”裏”である「AでないならばBでない」と同じ形です。

 

A(=「感染している」)/Aでない(=「感染していない」)

B(=「陽性になる確率は30%」)/Bでない(=「陽性にならない確率は70%」)

 

命題の裏は元の命題が真でも、必ずしも真とはならないことは以前の記事でも述べていますので復習しましょう。


(1)の感度と(2)の特異度は独立です。(1)は感染者についてのみ述べています。非感染者については全く何の制約もありません。同様に(2)は非感染者についてのみ述べており感染者にはまったく関わりはありません。

 

(3)については検査とは全く関係ない情報で、全人口の中でどれくらいの人が感染しているかだけを述べています。

その中から感染者を選んできて検査した場合が(1)で、非感染者を選んで検査した場合が(2)です。なのでこの3つは全てお互いに影響しない独立した値(数字)を取ることができます。

 

(陽性的中率)=(z*x)/{z*x+(1-z)(1-y)} ・・・(4)

 

今回の試算ではx=0.7で固定しているので、ここから先はxを変数とみることはやめにして、定数0.7という決まった数字であると考えてください。

そうなると(4)式をzで整理すると

 

==>a-b/(z+c) (a,b,c>0の定数)

 

の形になるのでzが大きくなると陽性的中率が上がることが分かります。

 

同様に(4)式をyで整理すると

 

==>d/(-y+e)  (d,e>0の定数)

 

の形となるのでyが大きくなると陽性的中率は上がります。

 

(★ここから大事★)

今回主張したいのはロジックとか計算方法についてではなく、ここでの数字を用いた試算結果の解釈です。

 

2つの変数を動かしてシミュレーションした結果、陽性的中率は最低の0.07%から最大の99.9%までかなりの幅があることです。

 

(最低の数字)事前確率0.01%、特異度90%の時、陽性的中率=0.07%

(最高の数字)事前確率10%、特異度99.99%の時、陽性的中率=99.9%

*数字は表の物から四捨五入

 

この2つの数字がどうなるかによってPCR検査の解釈は大きく変わり当然施策も変わってきます。

もしも感染者で偽陰性(感染者が検査で陰性)の検査結果が多いなら、安心して外に出る感染者が増えるとより感染者が増えるので外出制限すべきです。

また非感染者で偽陽性(非感染者が検査で陽性)の検査結果が多いなら、再検査の頻度を上げる、検査の精度を上げるなどに取り組まないとPCR検査を受けることで行動制限を強いられるスポーツ選手などが増えてきます。

 

いずれのケースでも数字の絶対数と割合を考えたうえで判断すべきであり、実態はこの数字によって表されます。

 

実際に今回の例では「事前確率」が最も確定しにくい数字です。「特異度」は対象が検査を受けた人で数も限定的なので検査の結果を追えば精緻化できます。一方で「事前確率」は国民全体のうちの感染者割合ですからランダムに抽出したサンプルから求めないといけない数字ですが、健康で一見問題ない人は検査に来ないので母集団に入ることが少なくなります。こうなると感染が疑わしい人たちだけのサンプルで感染者率を割り出すと当然数字は高くなります。

これまで見てきたように「事前確率」が高くなると「陽性的中率」も高くなるので、PCRの検査結果を過大評価することになります。

 

少しややこしい話が多かったですがいかがでしょうか?

 

純化して偽陽性偽陰性が多いからダメだとか少ないからどうだとかよりも具体的に微妙なバランスが見えたのではないでしょうか。

少し具体的な数字の感覚をもって両極端ではない世界を考える習慣を持つと世界の見え方が変わるのではないかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

「論理(ロジック)」について学びなおす~その5(数字編)「PCR陽性はどれくらい危ない?」

 
前回の記事で「数字を使って実態を正しく把握する」ということをお話しました。
 
「論理(ロジック)」について学びなおす~その4「数字を考えている?」~
 
今回はそれを象徴するような事件(「コロナ偽陽性」)が実際に起こったので、それを例として数字を用いた実態把握について考えたいと思います。
 
報道によると、元オリンピック体操選手がPCR検査で一旦は陽性が出ましたが、何度か再検査した結果実は陰性であることが判明しました。(「偽陽性」というらしいです。)
ここではそのニュースやPCR、コロナ対策の是非についてではなく、純粋に数学的にどれくらいの確率でそういうことが生まれるかを計算し、我々が持っている危険のイメージと実体の違いを検証します。
 
 
PCR検査の結果は陽性だった!」
 
以下のように数字をおいて計算します。
*実際の数字とは異なる可能性がありますが”仮で”おいています。
==================================
(以下計算のための仮定)
このPCR検査は”本物の”コロナ患者が受けると99%の割合で陽性が出るが1%は陰性(「偽陰性」という)になる。一方患者でない人が受けても10%陽性が出て(「偽陽性」という)、90%は陰性となる。*実際確実に検出しようとするとそうなるらしい。
さてコロナの患者の割合は全人口の0.1%と分かっているとすると、陽性と判断された人が本当にコロナにかかっている確率はいくらか?
==================================
 
これは「条件付き確率」と呼ばれる種類の問題で大学入試の数学で出ます。数学の世界では「ベイズの定理」とよばれています。
 
「やばい!99%コロナに感染している!」
 
と思うかもしれませんが検証してみましょう。
 
感染している人(0.1%)・・・ 陽性が出る(99%)/陽性が出ない(1%)
感染していない人(99.9%)・・・陽性が出る(10%)/陽性が出ない(90%)
 
まとめると4つのパターンがあるので番号を付けます。
 
(1)感染していて陽性が出る
(2)感染しているが陽性が出ない
(3)感染していないが陽性が出る
(4)感染していないで陽性が出ない
 
今回は検査の結果陽性が出ているので、上のパターンの(1)か(3)のどちらかということになります。
 
本当に感染している確率=(1)の確率/((1)の確率+(3)の確率)
=0.001*0.99/(0.001*0.99+0.999*0.1)≒0.00981267≒約1%となります。
(*この部分が「条件付確率」の計算でベイズの定理そのもの)
 
約1%!!!
 
もしかすると想像よりずいぶん小さくないですか?
 
それでもかかったら危ないから、というのは別の話です。これはまったく論理的ではありません。
今回の試算は実際に起こる確率を計算することで地域や国全体でどれくらいの患者がいるかの実態を求め、自治体や病院などの対応を考えるときに役立ちます。
 
一つこの数字から導かれる結論としては、もし上記の仮定の数字をそのまま使うなら
 
「陽性反応が出た人も約99%は実はコロナにかかっていない!」
 
ということが分かります。こう見ると実は試算結果はショッキングなのではないでしょうか?
(*しつこいですが仮定の数字の検証はここではしていないです)
 
こうみると数字で物事を見てみることの大切さがわかると思います。
普段ニュースなどでは「ある、なし」だけの報道も多いと思いますが、実態を見るときには範囲や程度などの数量も大切になることを覚えておいてください。