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フェルミ推定と数理モデル

最近、就活でよくでてくるフェルミ推定とは、どういうもので、どうやって説くのか?
今回はこれについて簡単にお話します。
 
これは科学の研究の言葉で表現するなら「数理モデル」を作るという行為と同じです。具体的には、対象となる事象に対して、注意深く観察し、いくつかの特徴となる変数を複数みつけて、それらの関係を数式などで記述します。
 
例えば以下のようなものが数理モデルの例で、これは自然科学だけでなく人文科学や社会科学でも同様にでてきますから、理系だけというものではありません。
 
例 
人口の増え方から将来の需要を予測する
細胞分裂の速度とそれを決定する要因の関係を特徴づける(温度、濃度、PH、、、)
今年のインフルエンザの患者数を推測する
20年後の地球の気温を予測する
死亡率や出生率から生命保険の料金を試算する
デリバティブの商品を作りリスクを軽減する
・・・・
 
上記はどれも、本質的に現象を決定するパラメータ(変数)を見つけて、それらを使った近似式を見つけ、説明したり予測したりすることをしています。
 
フェルミ推定はそれが就活という場で、市場規模だとか売り上げ予測という形で出てきます。これは特別新しいことは何もく、メルカリの売れる価格の予測など身近なものと全く変わりません。
したがって、実験室もしくは市場調査など日ごろの研究などで行っている思考法をそのまま使えばいいんです。
 
ではいったいどうやって数理モデルをつくるのか?一般論は以下に簡単に説明しますが、たぶんいくつかやってみたほうが早くなれると思います。
 
総じてそのプロセスを一般的に解説するならば以下のようになります。
 
(1)数値で現象の結果を決めるもの(変数)を複数みつける
 
気温、湿度、株価、人口、生存率、、、
 
(2)複数の変数にはなんらかの関係を見つける
それは独立変数/従属変数のこともあれば、相関関係があるもの、因果関係があるものなどさまざま
 
(3)複数の関係のある変数を数式で表現する
 
(4)そのモデルをもとに現象を説明したり、将来の予測を行う
 
 
なんか書き上げてみても、きわめて当たり前ですね(笑)。
フェルミ推定なんて、そんなものです。
 
 
就活という文脈で見るのであれば、いくつかの点で難しいところもあります。まず時間が短いです。5分とか10分で自分のなじみのない数字を試算させられますが、全く知らない分野ということも多々あります。
 
普段は実験室でDNAの解析をしているのに、突然市場規模を聞かれても、最初は戸惑いますよね(笑)
 
ですが、市場とか売上高とかは慣れると、因数分解のパターンが少ないので、何題かやってみるるとよいと思います。
 
例えば
 
コロナの影響で全国のラーメン屋はどれくらい売り上げが落ちたか?
日本のアイスクリームの市場規模は?
中国のスタバの店舗数は?
 
「顧客」という視点で見て、それを「地域別」「年齢別」「所得別」などで分けてみると、多くのケースをカバーできると思います。ちなみにこのように「顧客」をある特徴で分けることをマーケティングでは「セグメンテーション」といい、分けられたそれぞれのことを「セグメント」という言い方をします。
 
例として最後の「中国のスタバ」の店舗数について考えてみましょう。
知識として分からない部分があれば、それは自分の想像で埋めてみてください。
 
これを考えるにあたり、中国のスタバに関する情報をまず集めましょう。
 
・中国にも都会を中心にスタバがたくさんあり、若者に人気がある
・単価は日本より少し高い
・中国は14億の人口がある
・中国の都会である北京や上海には東京並み、または東京以上にスタバがある
・中国の若者はネットが好きで、スタバの写真を上げる人が多い
・スタバの競合のコーヒー店もたくさんある
・・・
 
考え方としては何通りかあると思います。それは自分の知っている知識によりモデルが異なるのは自然なことです。
 
例えば
 
日本との比較で考える
*日本の店舗数は**だから中国はこれの**倍(または*分の1)
人口当たりの店舗数で求める
*都市単位、または国単位
大都市と地方を分けて、それぞれの都市で平均どれくらい店舗があるか試算して合算する
*日本でもスタバは都会と田舎では数が違うことを考慮
世界のスタバの店舗数から中国のシェアをもとめる
*全世界で**店舗だから中国では**店
 
 
これらの中から自分が最もモデルを想像しやすいものを用いればよいですが、あくまで実際の現象とモデルが対応していないと数字は合わないので自分勝手ではだめです。
 
それと数理モデルでは、あくまで「数字」を試算するためのモデルなので、数量が分からないただの因数分解みたいなものは、その要件を満たさないのでダメです。
 
例えば中国のスタバの店舗数を求めるときに、「人口当たりのスタバ数」に14億の人口をかければ答えは求まりますが、「人口あたりのスタバ数」を適当に入れる場合は全く実態を見ていないので、ただしいモデルとは言えません。あくまで数字までを想像できる関係を見出せる分解を作らないと説明もできないし、修正もできないので注意してください。
 
結果は自分でやってみた後に、ネットで調べればスタバのオフィシャルページには最新のものが載っているので比べてみてください。
 
フェルミ推定は、こんなかんじでやってみるのが慣れるのによいと思いますので、ぜひ何題か自分で考えてやってみて、その後ネットで回答と比べてみればよいと思います。
 
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